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3月議会 まとめ

2018.03.14

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新年度予算・平成29年度補正予算 市の財政状況

 3月議会に提出された議案は条例、予算・補正予算・人事案件等36件と請願1件で、12日で全議案の審議が終了しました。委員会審議では、どの議案も賛成多数・賛成全員で可決。20日の本議会で最終採決がなされます。途中経過として主な内容についてお知らせします。

■新年度予算概要について
 国の一般会計総額は29年度当初予算比2581億円増の97兆4547億円。埼玉県は前年度比13億3300万円増の1兆8657億6000万円と過去最高の予算額を計上。埼玉県下でも多くの自治体が過去最高の予算総額を計上し、幸手市も前年度比8億9000万円増の175億5000万円と、過去最高を更新しました。そのようなことを前提として、新年度の歳入歳出について、増減の大きかったものについてご報告いたします。

 歳入の市民税は、経済状況の持ち直し、個人所得、法人所得が上向きとなっていること、固定資産税などの増を見込んで増額計上に。また、分担金及び負担金は、東武鉄道の負担金6000万円(駅舎建設)が純増。国庫支出金は、民生費として幸手市の新しくできる私立保育園(市内既保育園が事業拡大・東地区に新設・定員60名)の整備交付金108,790千円が大きな増となった半面、土木費が2億円超減額に。これは古川橋架け替え、駅舎自由通路整備の工事の事業進捗に伴う減額です。県支出金の増は、民生費のうち介護保険事業地域密着型サービス等の整備助成金や、土木費では自由通路のエレベーター等の設置補助金です。
 また、繰入金(財源不足に対し基金(積立金)を取り崩して充当)や市債の発行額が大きく増額となっています。

 歳出では、商工費のうち、商工振興費が大きく伸びています。幸手市では産業団地への企業誘致に際し、市内雇用の促進、固定資産税及び都市計画税の相当額等に対する交付金として、幸手中央地区産業団地企業誘致奨励金の交付を条例化。平成29年度は375万円を計上しましたが、新年度は1億1000万円を計上。市によると、産業団地では現在221名の新規雇用が生まれており、新年度は6社分の奨励金を予定しているとのこと。
 教育費は、主に小中学校のトイレ改修や中学校の武道場のつり天井の改修が事業化され大幅な予算増に。校舎等の大規模改修は当然やるべきことではありますが、しかし、重点プロジェクト計画にもなく、さらに多額の市債を発行して新年度に一気にダンゴ状態で予算計上するという事業執行は、今後の幸手市の財政への影響を考えると一抹の不安を残すものです。

 そして、公債費。これまでに発行した市債(借金)を返還する費用が公債費です。新年度は元金約11億9300万円と利子分約1億円が発生。そのうち、元金のみの返済額が1億300万円超増えます。
 歳入の市債発行と歳出の公債費の関係をみると、平成30年度中起債予定額が21億5180万円。償還金が11億9300万円となっています。20億を超える市債を発行しても実際に使えるのはその差額の約9億6000万円程度ということに。

 いずれやらなければならないことは、おカネがあればすべて早急にやりたいところですが、過去最高の一般会計総額を計上しても、その内訳が市債発行増、積立金からの繰入金の増で賄われている現状。
 一昨年の秋、約9000人の市民の皆さまが市の財政を心配して「財政力に見合った駅舎整備を」と集められた署名は完全無視。今後の幸手市の財政運営は増々タイトさを増すことが予想されるものと思われます。駅舎整備に猪突猛進突き進む現市政の財政運営のツケがどのようなカタチで現れるのか。危惧は拭えません。

 私は当然ながら、この疑問について予算審議の中で問いました。「将来の財政負担を鑑みた時、もう少し予算計上の平準化を図るべきではないか。政策部門、財政部門はどのように考えているのか」と。執行部からは「公債費比率や将来負担率などの財政指数は健全である。問題ない」との旨の答弁が。幸手市の身の丈に合った財政運営という市民の認識とは隔たりがあるようです。

最後に、予算の前年度比増減の大きい主なものを資料といたしましたのでご参照ください。 
   歳入歳出総額   175億5000万円(980,000増=5.3%増)
≪歳入≫
・市税       6,392,399千円(71,821千円増=1.1%増)
・地方消費税交付金  766,000千円(120,000円増=18.6%増)
・地方交付税    2,150,000千円(70,000千円増=3.4%増)
・分担金及び負担金  214,834千円(72,476千円増=50.9%増)
・国庫支出金    2,635,456千円(▲107,882千円=▲3.9%)
・県支出金      962,773千円(82,854千円増=9.4%増)
・繰入金      1,451,137千円(136,884千円増=10.4%増)
・市債       1,766,800千円(429,800千円増=32.1%増)
≪歳出≫
・商工費       304,366千円(108,676千円増=55.5%増)
・教育費      2,253,195千円(597,641千円増=36.1%増)
・公債費      1,291,570千円(88,295千円増=7.3%増)