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個人県民税データ入力業務等の受託者における契約及び法令違反 その後

2019.01.26

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以前お知らせしたマイナンバー制度に関する契約・法令違反についてのその後です

今日も少し長くなりますがお許しを。昨日、市の担当職員が、以下の内容のお知らせを手渡しすべく各議員宅を回ったそうです。私はたまたま市役所にいて受け取りました。この件はこのブログでも「新年早々のバッドニュース」として取り上げていましたが、その処分内容が決まったということのようで。以下、今回配布されたお知らせの抜粋です。

幸手市議会議員各位 平成31年1月24日

指名停止処分について(お知らせ)

1.対象業者 AGS株式会社
2.処分内容 2ヶ月間の指名停止
平成31年1月23日から平成31年3月22日まで
3.理由 (概略)
当市シティープロモーション課が発注した住民情報システム一括処理委託業務等において、平成25年度まで遡り履行内容を確認したところ、その一部を行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第10条及び幸手市業務委託契約約款第3条に違反し、市の許諾なく再委託及び再々委託したため、「幸手市建設工事等の契約に係る指名停止等の措置要綱」の契約違反、不正または不誠実行為に該当するため

さて、今回の事案に対して、このお知らせでは処分の是非も分からないし、委託先の市の責務に全く触れられていないのが気になります。職員の話では、2ヶ月の指名停止が済めば、その後に及ぶペナルティはないということ。この事件、幸手市だけでなく、深谷市・和光市・東松山市・本庄市・羽生市で同様のことが起きていて、同じ処分内容となっているのでしょう。しかし、この書面では受託者の処分以外触れておらず、今後、行政が委託者として、市民の情報を守る対応の強化をどうして行くのかは書かれていない。大変気になるところです。

この事案については、皆さんに新聞をご確認下さるよう呼びかけておりましたが、私も以下の4紙を確認。1月9日の東京新聞、読売新聞、毎日新聞、 埼玉新聞が取り上げていました。各紙は経緯を掲載。うち、埼玉新聞は「AGSは手続きの失念と、許諾書面で再委託先が一部未記載になっていた不備が原因だとしている」と報じ、毎日新聞は「同社は、初年度(15年度)に許可を取って以降、1年毎の更新を失念していた。再発防止への対応を進めたい」など釈明している」と報道しています。

誰にでも失敗や失念はありますし、実害なく済んでいるといえ、情報は一度流出したら取り返しがつかないという代物です。以前にも述べましたが、このような契約違反が、発注者側が「許諾申請がなかったから分からなかった」というレベルでいいのかどうか。私の心配はその一点です。

今日、ネットで調べていたら「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」という長い名前の法律の逐条解説を発見。その10条に「再委託」における許諾についての定めには

第10条(再委託) 個人番号利用事務又は個人番号関係事務の全部または一部の委託を受けた者は、当該個人番号利用事務棟の委託をした者の許諾を得た場合に限り、その全部又は一部の再委託をすることができる。

とあります。 その逐条解説では、行政機関や地方公共団体、民間事業者において業務の委託が広く行われている現状踏まえれば、個人番号を取り扱う事務についても委託や再委託等がなされることが想定され、また、これまでの個人情報漏洩事故においては再々委託先等から情報が漏洩している例もある。そこで、本条において、個人番号利用事務等の委託、再委託等を認めるとともに、その場合に許諾を要求するものである。

とされ、同条第1項では、再委託以降の全ての段階における委託について、個人番号利用事務等の委託をした者(最初の委託者)の許諾を必要とすることにより、個人番号の適正な取扱いが期待できないような委託先への再委託等を防止するとともに、最初の委託をする者に対しては委託後の個人番号の取り扱いについて、再委託等以降についても責任を持ってその適正を確保することを要求することとなる、
と解説されています。

さらに、委託先の監督について、
第11条(委託先の監督) 個人番号利用事務等の全部または一部の委託をする者は、当該委託に係る個人番号利用事務等において取り扱う特定個人情報の安全管理が図られるよう、当該委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならない。

と規定しています。すなわち、個人番号を委託した者に対し、受託者に対する監督義務が課されているのです。
実は私はここの部分は非常に重大だ思っています。「必要かつ適切な監督」とは、例えば委託契約の中に必要な義務付けなどを設けること、これらの契約内容が遵守されている事について定期的に報告を受けることなどが挙げられるとされていますが、まさにそこです。

この事案は職員が議員宅を回って説明を繰り返しています。それだけ大きな事案だということなのかもしれませんが、私は、未だこの委託先の監督の責務に全く触れられていないことが非常に気になっています。法律では、再委託、再々委託は想定内であり、委託者が定期的に報告を受けるように書かれているのですから。

先にも述べましたが、今回は漏洩や流出はなかったということです。だからと言って、受諾者の反省だけではすまされない事案です。受託者の責任とともに、行政の委託者としての監督責任、再発防止策も問われます。個人情報は市民の財産です。市が守るべき市民の財産です。
その点は今後、適切な対処がなされるよう確認していきたいと思います。