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みんなで高める地域防災力

2019.07.27

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加須市議会 市民公開研修講座

昨日午後、上記研修会に参加するためパストラル加須に行って来ました。大気の不安定さもあってか、積乱雲が高く低く群れをなす典型的な夏空と青田を吹く風。加須の空は「広いなあ」とあたらめて感じた次第です。

さて、この市民公開講座は近隣市町議会にもお招きがあり、加須市民の方に混じって幸手市議会からも複数の議員が受講させていただきました。基本、自由参加です。昨年は議会改革をテーマに開催され、私は2回目の参加となります。いくつか皆さまと共有したいキーワードがありましたので、私なりのまとめですが備忘録も含め取り上げたいと思います。

【みんなで高める地域防災力】
講師 : 鍵屋 一
鶴見学園女子大学観光コミュニティー学部
(元 板橋区危機管理担当部長 ・ 板橋区議会事務局長)

❶被災者支援は100%を目指さない
・ 被災者支援は混乱がつきもの。スタートは30点から→最後は60点で終わればよし
・ただし、家具の下敷きにならない、水害では1階で亡くなる人が多いことへの対応、被災後のゴミ仮置き場や分別方法など事前に決めるべきことは決めておく。共助と公助の役割分担として、公助ができるのはリスクを科学的に把握する、避難所を指定する、避難勧告等を放送するところまで。安否確認、避難誘導、避難所等で支えあうのは共助の役割と心得て。
❷誰が逃げろと伝えたか? 誰が逃げるのを支援したか?
・内閣府調査では、双方とも一位は家族・同居者、二位は近所・友人、三位は福祉関係者⇒近所・友人と福祉関係者の支援力が強い。
・東日本大震災の死者の教訓 ⇒高齢者が約6割、障害者死亡率は2倍
⇒体力がない・地域とのつながりが弱い
❸なぜ、人は備えないのか? なぜ、行政・企業の災害対策の優先順位は低いのか?
・正常化の偏見「自分は大丈夫!」 ⇒自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価してしまう人間の特性
❹高齢化が進むのに近所付き合いは減っている
❺町内会自治会活動への参加も低下
❻減り続ける自治体職員⇒公助にも限界…

結論
①これからの防災は?
・課題解決・損失を減らす防災から、「価値向上型」の防災へ
⇒日常から人間関係、近所関係を良好にし、排除される人がいない魅力ある地域を作る
⇒ 近助が強くなれば自助も公助も強くなる。⇒災害や危機にも強くなる

課題
①地域防災計画の策定
②要支援者情報の整備・活用⇒ケアプランに災害時対応を
・ケアプラン、障害者総合支援法の個別支援計画に災害対策を入れる
・災害関連死防ぐ対策を

さて、講師は秋田県男鹿市のご出身で、ナマハゲの伝統文化を例に、住んでいる地区の住民情報収集の大切さに言及。ナマハゲ👹というと、家々を廻って「悪い子イネガー」と子供たちを泣かせる怖い"鬼"を連想しますが、元は「怠け(なまけ)を剝ぐ(はぐ)」来訪神で、平時は五穀豊穣、家内安全を祈り、現在は、災害時に要支援者情報(ナマハゲ台帳)に基づいて避難を支援する災害ボランティアだそうです。
ナマハゲ(消防団員などが多い)は家々を廻って、「ここのばあは随分足腰が弱ったなあ」とか、「車椅子でどう避難させるか」など災害に対する弱者の存否を確認するほか、避難場所となる神社を日頃から使う、避難場所までの参道を整備する、確実な避難方法(同行避難)などに役立てるなど、地域防災力強化に非常に役立っていると。

また、安否確認においては、香日向地区で行っている「安否確認サイン(タオルなどを見えるところに表示する)」のように、安全な家を識別できることで逆に的確に救助の必要な家を確認することが奨励されました。このような実践で安否確認の初期段階はクリア。その次に求められているのが地域防災計画の策定と、要支援者情報の整備です。2013年6月の災害対策基本法改正で「避難行動要支援者名簿」作成が義務化されましたが、個人情報の扱い等、市区町村の独自の判断を尊重することとなっているなどまだ多くのハードルが残ります。少しずつ、初めから100%を目指すのではなく、少しずつ、みんなで考えていくことが必要ですね。

最後に、地方議会の役割にもお話がありました。災害時の議会・議員の使命は、まずは住民の命を守る(余力があれな財産も)。それには、市区町村当局と協同し、国、都道府県、防災関係機関、国民に働きかける。応急対策期議会・議員は、行政と心を合わせ、同じ方向性で、地域での支援活動、情報収集と対策本部への提供(ただし、窓口は議長など一元化)し、災害対策本部情報等の住民への提供、情報発信に務める。「言ったもの勝ち」を防ぐのも大切な使命ということでした。行政職員、議会事務局長としての経歴からも説得力あり。

議員の行動指針(案)として、
❶自らが被災しないように準備する。災害直後は落ち着いて安全の確保を。人命第一。
❷地域での支援活動を!
❸情報の収集と地域への提供を
❹個別の要請を避け地域の情報は議会に集約
❺地域と議会執行機関との橋渡しを。

上記、肝に銘じたいと思います。さて、まとめです。
まず、「地区防災計画」は自治会などを単位とする「共助の計画」であり、「一緒に助かるための計画」です。住民の状況に応じて見直しを図るなど柔軟性を大切にしながら策定を目指していく。また、「災害時行動等要支援者名簿」の整備は幸手市でも大きな課題ですが、講師の「ケアプランで対応」はわが意を得たり。今は、危機管理防災課が所管となっていますが、遅々として進んでいないのが現状です。なぜか。危機管理防災課では登録者の刻々と変わる生活環境変化を把握管理できないからです。私もこの観点から、ケアプランでの管理を担当課に進言してきました。これについては今後、国レベルで何らかの法整備がなされる可能性もありますが、市民の安全をいち早く守れるしくみづくりをさらに進言していきたいと思います。

♥災害は忘れた頃にやってくる、と言われますが、大災害は「忘れない頃にやってくる」と。歴史的周期からみれば、首都直下型地震はいつ地震がきてもおかしくないレベルだと。オリンピックに沸く2020年か、2025年か?今後は、様々なしくみづくりとともに、私たちも正常化の偏見「自分は大丈夫」という気分を排し、近所で助け合える環境づくりと、訓練等への積極的な参加を通して、地域の安全をみんなで役割分担しながら守ってまいりましょう❗️