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児童虐待 最多15万9千件

2019.08.04

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県内1万5334件 近隣からの通報増加

全国の児童相談所が2018年度に児童虐待の相談通告を受けて対応した件数が159,850件(速報値)に上ったことが1日、厚労省のまとめで分かった。という埼玉新聞(8/2)の記事より。

1990年度の統計開始から28年連続の増加。児相との連携を進める警察からの通報が増えており、子供の前で家族に暴力を振るう「面前DV( ドメスティックバイオレンス)」などの心理的虐待が55.3%を占めた。埼玉は政令市のさいたま市を含めた全体で15,334件。

17年度中に虐待を受けて亡くなった子どもは16年度比12人減の65人(心中の13人含む)。しかし、 18年度の虐待対応件数は17年度から26,072件増加。そのうち13,095件は警察等から、4467件が近隣知人からの情報だったということ。

悲惨な虐待事件が相次いだことを受け、来年4月には親による子供への体罰を禁止する改正児童虐待防止法と改正児童福祉法が施行されることになっているということ。政府は虐待対応にあたる児童福祉司の増員を決定しているそうですが、体罰に頼らない子育て方法を伝えるなど親を対象とした対策も求められていると記事。

悲しい現実であり、罪のない子どもたちへの虐待は何としても防いでいかなければならない社会問題ですが、なかなかこれという解決策がないのも現状です。埼玉県子ども安全課でも「市町村で保護者の子育て相談などを行う担当者向けのプログラムを引き続き行うなど、児相以外の公的機関やNPO、学校などとも連携を強化する」としていますが。
残虐さばかりに気を取られることなく、問題を個人に矮小化するのではなく、まずは親の気持ちに寄り添い、児童虐待は社会問題として捉えなければ問題を根絶することはできませんね。
家庭や家族のあり方が近年は大きく変わりすぎて、個人も家族も家庭も地域社会も対応し切れていない。そんな時代性をきちんと把握し、適切な支援に結びつけていくことが求められます。

さらに、この記事で私が一つ気になるのが、"近隣や知人からの通報"の増加です。埼玉県児童安全課は、「虐待防止を訴えるオレンジリボン運動などで関心が高まっているからではないか」と指摘しているようですが、実はこれには複雑な問題があることに注意です。

通報により突然警察や児相から「訪問」を受けた人の実話です。夜に突然、呼び鈴が鳴り、警察関係者が「虐待通報があったから」と訪問。詮索されたという若い子育て世代。保護には至りませんでしたがとてもショックを受けたと。「通報してくれてありがとう」とはいきません。「なんで?」「誰が?」と近所や世間に対する疑心暗鬼、不信の思いしかなかったと。それはそうですよね。普段仲良く付き合ってる知人もしくは普通に付き合っている近所の人の中に虐待を疑った通報者がいるわけですから。「普段から何か思っていたになら言って欲しかった」。しかし、その方にはその思いを吐き出せる場所があった。それで救われたと。通報が増えている陰で同じような経験をしている人が増えていないか心配です。

そして、もっと難しいのは、子どもの心のケアです。虐待はいけないことです。一番に確保されるべきは「子どもの心身の安全」ですが、虐待されている子どもにとって、それでも親は親なんです。幼ければ幼いだけ、引き離されて嬉しいとか良かったとはいかないんです。保護とは家庭や家族を一時的にでも分断することです。より慎重な対応が求められます。

繰り返しますが、児童虐待は絶対やってはいけないことです。かく言う私も100点満点の子育てをしてきたかというと反省だらけですが、地域のいろいろな学びの機会があってずいぶん自分を見つめ直しをさせていただきました。

児相の対応は対処でしかありません。相談も大事ですが、真相、深層に迫れるのはほんの一握り。どんな時代も、問題は一番弱いところに現れるのです。それよりも、もっと風通しが良く、本当に心から人が信じられる。そんな社会を再構築する。本当はこれが求められているのではないでしょうか。これは一人一人の心がけか教育でしかできないことです。大人の社会だってイジメはあるし同調圧力もある。
世の中は多様でありながら、解決策が多様に用意されていないことが問題。「こうしたらこうなる」という回答があるわけではありませんが、とにかく、子どもたちが健やかに成長できる社会となるよう、一人一人が、持ち場持ち場で考えていくしかありません。

子どもは産まれながらに、より良く育つ権利を有しているのですから。