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市議会行政視察② 新潟県見附市

2022.10.08

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見附市清掃センター 田んぼダムを見学

前号に続いて、見附市における視察研修の報告です。

【見附市】
見附市では
○ごみ焼却施設 見附市清掃センターについて(次世代型焼却炉)
○田んぼダムについて
の2つのテーマで研修を行いました。
清掃センターの見学は、幸手市が現在、焼却処理を委託している杉戸町環境センターの老朽化の観点から。田んぼダムは、幸手市の内水対策を考えるヒントとして、見附市の市街化区域への内水対策に効果が高いとされる事業の実地見学を試みました。

まず、見附市の概況ですが、本市は新潟県の重心地を有する新潟県ど真ん中に位置し、人口約4万人、高齢化率32.8%。面積77.91㎢。古くはニット等の繊維産業を基幹産業として発展。近年では県営中部産業団地への企業進出により産業構造が多様化。製造品出荷額もここ10年で約40%増加しているというまちです。令和3年度からの見附市第5次総合振興計画後期基本計画では、
①スマートウェルネスみつけ=徒歩や公共交通を使って生活できるまちづくり=の推進、②SDG s未来都市の実現、③ソサエティー5.0の推進をすべての政策に通じる大きな方向性として位置づけて政策を進めています。
ちなみに、見附市の令和4年度一般会計規模は172.9億円。市税収入は50.6億円、地方交付税41.9億円、市債発行は10.6億円。歳出では、土木費が23.5億円、公債費が18.1億円となっています。

このような財政状況の中、清掃センターは、旧ごみ処理施設の老朽化のため同じ敷地内に施設を更新。適切なゴミ処理、安定した運転を進めるため、施設の設計・施工・運営業務を民間事業者が一括して受託する「DBO方式」を採用。施設の処理能力・性能はすべて建設建設請負事業者の責任設計・施工により確保する「性能発注」で実施したとのこと。
事業内容は、
事業期間 :平成29年から令和21年(建設工事は令和元年5月まで、運営業務はその後20年間)
事業費 :総事業費 113.6億円(うち、建設工事請負金額51.4億円、設計施工監理委託料 0.7億円、運営業務委託契約金額62.2億円=20年間)
特徴 :竪型火格子式ストーカ炉導入

竪型火格子式ストーカ炉とは、従来のストーカ炉の乾燥・燃焼・後焼却の各ゾーンを垂直に積み重ねた新しいストーカ炉で完全燃焼とCO2の削減を実現できる独自の燃焼方式で、このバーチカル炉導入の決め手は、
①機械装置の損傷低減で長期間連続運転が可能なこと(火格子の損傷が従来のストーカ炉の約1/20。
②シンプルな構造で機械点数が少ないため故障率が低い)
だったそうです。20年間で62.2億円の運営業務委託料は、毎年、改定の協議が行われるそうです。方法は、前年の平均値と前回改定時の値を比較し、±1.5%を超過する場合、翌年度委託料に反映させることに。変動費(ゴミ量の変化や燃料費、水道料金、基本料金を除く電気料金、灰運搬費、不燃物運搬費の変動率)、固定費(経常経費としての人件費や維持管理費、電力等基本料金、補修費用など)に区分してそれぞれ判定されます。
単純に当初の運営業務委託料を20年で割ると年間約3.1億円となります。この金額が高いか安いか妥当かの検討はつきませんが、仮に20年後も使い続けるとしたら、もう少し維持管理費が上がる可能性もありますね。見附市さんの場合は、プロポーザルに2社の応募があり選定したそうです。
また、見附市さんは平成16年に近隣市と合併協議を行うも頓挫。近隣市も自前の焼却炉を運営していることから、この焼却炉は見附市単独で運営しているそうです。新潟県も最近になり、9ブロックでのごみ処理行政広域化を打ち出したようですが。また、旧焼却施設の解体は今後の課題ということでした。どこの自治体も同じような課題があることを改めて認識しますね。
ちなみに、見附市さんは燃えるごみ、燃えないごみ、粗大ごみが有料です。
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次に田んぼダムについてです。見附市さんは平成16年7月に水害に見舞われ、
①市街地の道路の機能が失われ市民がボートで救出されたり、
②周辺の湛水により小学校が孤立したり、
③刈谷田川が決壊し、流域の農地も完全に湛水するなど甚大な被害が出たそうです。

その後、浸水対策として、
刈谷田川の蛇行部分のショートカット、刈谷田川遊水池の整備、直径2.6m・長さ586mの管の埋設などのほかに、田んぼダムは新潟大学の調査で、見附市は取り組み効果の高い地域との判定を受け実施を決めたそうです。経費は安価に、整備も簡単、農家に経済的にも人的にも負担わかけないなど農家の方の理解も得て、県営圃場見附地区約1200haを対象に事業を実施。平成26年には実施率100%を達成。その後、幸運にも大雨に見舞われることなく、実測はできていないが、床上浸水は、ゼロとの理論上の検証結果を得ているとのこと。
また、今後の課題は、持続的な実施を可能にするシステムの維持、とのことでした。
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♥以上、報告でした。私の備忘録も含め、長文となってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。