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9/30埼玉新聞2面 第4弾 年功序列の見直し

2014.10.01

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労働改革で子育て世代を中心に賃金の引き上げを

 29日に開かれた「政労使会議」で示された安倍首相の考えです。

 経済成長を維持するには「労働生産性の向上を図り、企業収益を拡大させ、賃金上昇や雇用拡大につなげることが重要だ」「年功序列賃金の見直しなど労働改革を進め、子育て世代を中心に賃金の底上げが必要」と。

 これに対し、経団連榊原会長は「大企業や中小企業を含めて、方向性を志向していくべき」と賛成。連合の古賀会長は「そう簡単に変えることはできない」と反発。

 政労使会議の今年の会議では、賃上げだけでなく、賃金体系や人事制度の在り方も本格的に議論。具体的には、日本企業に広く定着している年功賃金を、職務や成果に応じた賃金体系に移行し、若者や子育て世代に手厚く配分することが可能かどうか検討する。非正規労働者の処遇改善や、都市から地方への労働者の移動、女性や高齢者、外国人労働者の就労促進も協議する。

 年功賃金の見直しは、日立製作所が26日、国内課長級以上の管理職で廃止するとし、ソニーにも検討の動きが出ているが、年功序列をなくしても若者の賃金が増えるとも限らず、中高年層の賃下げに止まる可能性もあり、幅広い企業に広がるかどうかは不透明。

 という記事ですが、皆さま、いかがでしょうか。
 日立製作所やソニーというグローバル企業と国内中小企業では温度差はあるでしょうし、若者、中高年など年齢層によっても捉え方は違うと思います。しかし、明らかに言えることは、「高度経済成長時代」の次の時代が来ているということです。また、外国人労働者受け入れ「年間20万人」の政府目標も鑑みると、賃金体系を見直すことは避けられないのかも知れません。

 しかしそもそも、賃金体系をどうするかは「国策」なのか。企業や事業者はそれぞれの経営戦略や起業理念に従い人を雇用し、「労働者を守る最低基準とペナルティー」は国が定める。そして、労働団体はどんな就労体系の人でも救済できる「ユニオン」を整備して労働者の労働環境を守るというのがあるべき”しくみ”かなと思うのですが。

 記事中にもありましたが、日本企業に広く定着している年功賃金を、職務や成果に応じた賃金体系に移行し、若者や子育て世代に手厚く配分することが可能かどうかは十分検討していただきたいと思います。また、これから地域創生という、地方の良さを生かしたまちづくりを進めていこうとするなか、地方の事情に合わせた柔軟な雇用を損なわず、かつ、「ブラック企業」などの出現には労働環境整備への勧告やペナルティーで対応できるシステムをしっかりと構築していただきたいと考えます。

 あわせて、私が気になっているのは、若者をしっかり育てる教育環境の整備です。少子化にもかかわらず不登校児童・生徒が増える日本の教育環境はどうなっているのか。精査していくべきです。「労働生産性の向上」をいうなら、多くの若者が学校制度からこぼれ落ちている日本は、国民の能力を十分に高めることができていないと捉える必要があるのでは。賃金体系に就労機会の多様性と成果主義を求めるのなら、学校は子どもたちの特性を開花させ、自覚させ、自分の磨き方を教える場所としてもっと機能すべきであり、現在の学校に求められている(=押し付けている?)様々な役割のスリム化も考えていかなければならないでしょう。
 これからの時代を主体的に生き抜く人材育成機関として学校制度はもっと広い視野で今後の在り方を考えていかなければならないものと思います。また、成果主義の社会では「公正に成果を評価する」ことが求められます。評価が曖昧なまま、人情や情けで「成果」が運用されると、世の中の活力は減退するのみです。日本人にこれができるかどうか。欧米のような合理性を持たないのが日本人ですから。

 雇用体系を変えるということは、日本人の将来を揺るがす=生き方のルールを変える大事件であり、来たるべき世を主体的に生きていける人材を育成することもセットで議論していく必要があるように思います。明治維新の成功に教育制度が果たした役割は大きかったと理解しています。年功序列という従来の雇用体系の改革は、明治維新、戦後に継いで、日本に大きな転換をもたらすものであるからこそ、慎重な議論がなされることを願うものです。
 皆さまはいかがお考えでしょうか。