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サービスの需要と供給

2015.03.09
先のブログの続きです

 幸手市が『待機児童問題と無縁でいられる子育て環境』について考察してみたいと思います。

 まず、仮説として、幸手市では
①3世代近居・同居の世帯が多く、保育が家庭で足りている結果、需要がない。
②子育て世代に専業主婦が多く、保育希望がない。
③「潜在ニーズ」の掘り起しができていない。
④「潜在ニーズ」はあるが、供給サービス量が少ないので、子育て世代が保育機関での保育をあきらめている。

 生き方の選択肢として、①や②が選択されているのだとすれば、それはそれでよいと思います。私も2人の子どもを手元で育てたクチなので、親がわが子の成長をつぶさに見れる環境はあるに越したことはないと思います。しかし、③や④が、幸手市が「待機児童問題」と無縁な理由であるとしたら、それは政策として解決すべき問題ではないでしょうか。

 今議会の一般質問で幸手市の「子育て施策の充実について」を取り上げるに当たり、いろいろ調査してみました。幸手市では0歳児が平成27年2月末現在331人。平成26年3月末は312人、平成25年3月末は310人、平成24年3月末は328人と約320人前後で推移してきました。1、2歳児を合わせると1000人弱の子どもたちがいますが、その13%程度が市内の保育所を利用。約87%のお子さんが幸手市内の保育所以外の場所(主には家庭?)で育てられているのが実情です。

 市は「幸手市の保育料の水準は低く抑えている。その補てんは一般財源で」としていますが、保育所の定員が増えないとその低い保育料の恩恵を受ける子どもたちも限られるのです。対象者を増やさず「今、居る・要る人だけに配る」のは一種の「バラマキ」ですよ。限られた対象にサービスを厚くしても多くの人は恩恵を受けません。需要がないから保育サービスが増えないのか、保育サービスがないから需要が増えないのか…。ここが考えどころ。
 「タマゴが先か、ニワトリが先か」の論法ではありませんが、私は、今の若い人たちの雇用、育児休業の状況、仕事復帰のタイミングなどを勘案すると、まずは、市が需要(潜在ニーズ)を掘り起して、保育サービスの供給量(定員)を拡大していくこと。これがこれからの時代の子育て施策の最重要課題と考えます。

 子育て施策は国策です。合計特殊出生率を上げるというのは市の単独事業ではとても大変なことは事実。だからこそ、国の制度を活用するのです。日本全国の自治体間で競争が巻き起こっている現状、戦略のないまちに、子どもが、子育て世代が勝手に増えることはないでしょう。だからこそ、幸手市は”定員も増えず待機児童もゼロ”というまちから脱皮し、”0歳~2歳児の保育定員を増やしても待機児童が出る(くらいのまち)=サービスが必要とされるまち”を目指さなければならないのです。

 私の一般質問に対して、新年度は若しかしたら「待機児童」が発生するかもしれないとの答弁がありました。「今、調整中」ということでしたので、最終的にどのような結果になるかは新年度を待たねば分かりませんが、少なくとも幸手市においても待機児童が発生する可能性はあるのです。今後は、長期人口ビジョン、潜在ニーズに対応し、加えて、産業団地の誘致企業による雇用拡大も視野に入れて戦略的に子育て施策の充実を検討していくべきと提言しています。

 現状に対応するだけではなく、大切な税金を投入して行う施策だからこそ、将来(合計特殊出生率の向上)の目標値を持ち、幸手市においては人口流入が起きるような施策を、緊張感をもって積み重ねていかなければならないのだと私は考えています。
 そして、もう1つ。子育て施策と両雄をなすのが教育施策です。道路や住宅事情も気になりますが、まずは保育環境・教育環境の充実こそ、人口減少に対抗する「砦」と考えます。

 幸手市は新年度「子育て応援日本一」を掲げて施策を展開します。それに似合う施策の展開を、私は今後もしっかりと求めていきたいと思います。