記事一覧

3月議会 決断が難しかった議案

2015.03.28

アイコン

市民に寄り添った事業か否かが考えの分かれ目でした

 3月20日のブログで、3月議会の議案に決断のしにくい議案があったことをお伝えしていました。これについては、本当に悩み、そして、今も議会報告書を書きながら、いろいろ反芻しています。議会報告書には多くのことは書けません。この場を使い、自分の思考の一端をご報告をしたいと思います。

 さて、その議案とは、「橋上駅舎及び自由通路整備事業」の工事費に上限額と工期を定める「債務負担行為」に関する議案でした。提出された議案は、

 期 間 平成27年度から平成31年度(5年間)
 負担額 幸手市 27億8500万円
     東武鉄道   6000万円   を定めるもので、

 同時に提出された東武鉄道との基本協定書を読む限りにおいて、東武鉄道の負担6000万円は駅舎整備で発生する廃棄物等の処理費用かと思われます。

 私が悩んだのは、「この事業の効果」です。自由通路は基本的に反対ではありません。駅舎橋上化もできればそれに越したことはないと思います。しかし、幸手市の財政力や人口減少、将来の人口構造などを考えると、議員が「イイネ!」と太鼓判を押せる状況なのか、将来負担が直撃するのは「市民」です。
 行政は「市民サービスに影響が出ないように努力」するでしょう。そして、今のサービスを切り捨てにはしないでしょうが(そんなことを目前にしたら住民は逃げ出します)、新しいサービスをしようとすると、「国の補助」を頼るしかなく、ますます「ナショナル・ミニマム」な行政しかできなくなる。そんな巡りが来るように思えてならないのです。
 これからの5年は「地方創生」が勝負という時期です。そして、補助金や交付金を頼る行政から脱却し、本当に将来の実りを考えた事業に着手しておかないと、国は今後、ない袖は振れません。そんな時代が来たら、幸手市はノック・アウトです。消滅可能性都市が現実にならないとも限らないという危機感を持つべきです。。

 そのようなことを考えると、今、西口整備において、駅舎を整備するのと、県道整備の着手も視野に区画整理事業を進めるのとでは、幸手市にとってどちらが価値があるのかということです。

 私は原点回帰。区画整理事業の加速が優先と判断しました。駅舎整備は「市民の30年来の悲願」という方もいます。「駅がきたなくて恥ずかしい」との声も。その反面、「あの駅舎がいいんだ」「まちの個性として活かすべき」との意見も。市民に対する情報提供や説明があまりにも不足しているから、市民の意見も集約しません。駅舎整備が悲願であると同時に、西口地区の安心・安全な住環境の整備、久喜新藤の整備も悲願。悩みました。

 しかし、県認可を受け、ご自宅の権利(財産)を市に預けて事業に協力してくださっている地権者の皆さまがおられる以上、20年という長期な事業を短縮することこそ優先。それが市の使命と判断したということです。

 併せて、この事業の進め方にもひと言言いたい。旧香日向小学校跡利利用でも内向きな行政手法に住民から大きなブーイングが出されたことは記憶に新しいのではないでしょうか。しかし、今回のような巨額な財源を投入する事業でもそれをまったく反省していないとの印象です。市民へのあまりの説明不足。「できる市長」は市民から大いに意見を出してもらって、住民の意見を集約していく力を持っています。それができるのは確固たる「公共」の概念があるからと推察します。そういう市長がいるまちが「住みよいまち」ランキングの上位にあることは間違いありません。

 しかし、議会の議決が可決となり、これから駅舎建設は着手されます。決まったことは決まったこと。完成をみた暁に最大限に活用していくしかありません。その点についてもしっかりと提言できるよう準備していきたいと思います。