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大阪都構想 潰える

2015.05.18

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大阪住民投票は反対多数

 昨日の「大阪都構想」の賛否を問う住民投票。市民の反対多数で5年間の議論が終結し、橋下市長は任期後の「政界引退」を表明して幕が下りました。

 橋下市長は、今回の住民投票の結果について、「私が提案した大阪都構想は市民に受け入れられなかったという事で、間違っていたということになるのだろう。都構想について、しっかり説明できていなかった僕自身の説明不足だと思う」と述べたことが報道されています。

 大阪都構想とは一体どのようなものなのか。インターネットの解説から掻い摘んでご説明すると、「人口266万人という巨大な都市である大阪市の持つ権限は非常に強く、大阪府と同等程度とされている。そのため、大阪は、大阪府と大阪市の二極体制となっていて、『二重行政の解消』により、無駄な支出を解消し、財政赤字を黒字化させる」ということになるでしょうか。
 そのために、大阪市の現在の23区を5つの特別区に分けて、それぞれ区長を選出することで、より地域住民の声が政治に反映される、などのメリットが主張されていたようです。ただ、財政効果については、賛成派の見積もり通りの効果がないこと、移行には莫大なお金がかかるなどメリットのわかりづらさなどが反対派から指摘されていたようです。

 デメリットについては、反対派のわかりやすい意見として、大阪市民の税金が市外に流出し、大阪市「外」に使われる、という点が大きく主張されていたもよう。

 では、大阪市とはどんな位置づけのまちなのか。全国には政令指定都市と呼ばれる都市が20あり、大阪市は横浜市についで、全国で2番目に人口の多いまちです。ちなみに、人口100万人以上の市は、
横浜市 約371万人 大阪市 約269万人 名古屋市 約228万人
札幌市 約194万人 神戸市 約154万人 福岡市  約152万人
京都市 約145万人 川崎市 約146万人 さいたま市約125万人
広島市 約119万人 仙台市 約107万人 となっています。

 本来、大阪市と同じ「政令指定都市」という条件の20の都市は大阪市と同じ問題を抱えていてもおかしくはないわけです。しかし、大阪市より人口規模の大きな横浜市が動かない中で、「大阪都構想」は政令市の普遍的な課題となり得ず。全国知事会や全国市長会などにも追従の動きはなし。わが埼玉県の上田知事も「埼玉県はうまくやっている」的コメントを出していたように、他の道府県や政令市にはちょっと”他人事”の「大阪都構想」が日本の政治のしくみを動かすには機は熟していなかったという面はあったのかもしれません。また、「維新の党」の看板首長のカリスマ性に頼ることへの躊躇なども賛成票を投じる抑止となったのではないかと私は推測しています。

 いずれにせよ、今、東京の一極集中が問題となっていますが、日本の地方自治のあり方は、大阪都構想に止まらず、日本の中央を含め、深い議論と新たな仕組みづくりが求められているように感じます。

 皆さまはどのようにお考えでしょうか。