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合同視察@秋田市

2015.11.16

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合同視察2日目の秋田市 研修テーマ:学力向上

 研修から早くも一週間が経とうとしています。12月議会の一般質問通告書の締切期限を明日に控え、この報告をまとめた後、通告書を仕上げたいと思っています。
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 秋田市での研修テーマは、「秋田市の学力向上に係る取り組みについて」でした。文科省では、毎年、小学6年生と中学3年生に対して、主には先生方の授業力の向上に活かすべく「全国学力・学習状況調査」を実施しています。
 調査結果を見ると、例えば、昨年度の調査における公立小学校・国語Aの正答率ランキング(都道府県格付研究所HP参照)は、秋田県は正答率77.4%で一位です。埼玉県は同72.5%で30位という結果です。関東地方では、茨城県が2位、千葉県が6位、東京都が7位、群馬県が18位で全国平均以上、そして全国平均以下として、埼玉県が30位、栃木県が34位、神奈川県が39位となっています。公立小学校・算数Aの正答率ランキングでも、秋田県は正答率85.1%で1位、埼玉県は残念ながら76.9%で38位でした。
 国立教育政策研究所のHPでも、秋田県の公立学校の正答率の高さがグラフに示されています。全国的には秋田県、福井県、石川県で相対的に高い傾向があります。

 「学力」の定義は難しく、全国学力調査ですべての学力が推し量れるものではないと思います。しかし、全く無視をしていいものでもありません。先にも述べましたが、この調査の目的は、
・義務教育の機会均等とその水準の維持向上
・教育に関する継続的な検証改善サイクルの確立
・学校における教育指導の充実や学習状況の改善
を図るための基礎調査という意味合いの強いものです(文科省HPより抜粋)。

 このようなことを前提として、今回の視察では、秋田県の県庁所在地である秋田市での研修となったわけです。

 秋田市の概要から。秋田市は面積906.09?、人口32万人。小学校216校(うち複式6校)、中学校6校、児童生徒数は約23000人という規模の市です。平成9年から中核市となっていますが、平成12年国勢調査以来、人口減少が止まらず、毎年2000人規模で人口減少が続いているというお話しでありました。高齢化率も上昇傾向で、平成37年には3人に1人が高齢者となる予測です。

 幸手市の面積の約30倍という広大な市域ではいろいろな学校環境があるものと思われます。小学校216校のうち6校が複式ということが、その状況を物語っているのではないでしょうか。しかしながら、そこは中核市。例えば教育委員会の研修などは平成13年度より権限移譲がなされています。

 今回、秋田市教育委員会の取り組みとして説明を受けた内容は、家庭学習の取り組み(特に宿題の出し方)、先生の授業改善のためのしくみ、教員や各種サポーターの加配・配置などでありました。
 あえていうなら、特別に目新しいことをされているのではありません。幸手市においても上記のようなことはすでに取り組まれていることが大半です。しかし、こと、全国学力状況調査においてはこれだけの差がでる。これは一体何なのか。

 説明してくださった教育委員会学校教育課主事のお二人は女性でした。「教師の醍醐味は現場。現場に戻りたい」との”現場への熱い思い”を迸(ほとば)しながら、「秋田市では”知徳体”ではなく”徳知体”を教育の伝統としている」「家庭学習によって学力を定着させるのではなく、自分から取り組む意識づくりを支援すること」の意義が誇りを持って語られていたのが印象的でした。
 そして、丁寧に作られた多くの資料をいただいてきました。時代の変化など子どもたちを取り巻く環境が変化し続ける以上、どこまで行っても教育に「これでいい」という正解はないのかもしれません。地域の大人が、よりよい生き方を求め、実践し、後姿を見せ、そして、伝承していくことが大事なことという思いを強くした研修でした。