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大事に育てたい子どもたちの心の”揺れ”

2016.01.29

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昨日の出会い 18歳選挙権に思う

 昨日、小学6年生と「18歳選挙権」について話す機会がありました。一瞬の機会でしたが、その中で彼女がつぶやいたひと言。子どもたちの心は大人が思う以上に揺れています。

 子どもたちの心の揺れ…。私は子どもは無風や無振、無菌の中で育ててはいけないというのが信条です。いろいろなものに晒されながら上手に心を揺らし、その揺れに対処させていくのが人を育てる真髄だと思っています。昨日、私が生身の6年生を相手に、何を感じたか。是非、皆さまにも知っていただきたいなあと思い、このブログで取り上げることにいたしました。

 皆さまは、今夏から始まる「18歳選挙権」についてどのようにお考えでしょうか。もう今さら是とか非と言っていられない状況ではありますが、昨日、私はたまたま18歳選挙権について小学6年生と話す機会を得ました。機会と言っても、大上段に18歳選挙権を話し合ったということではありません。話の流れの中で一瞬のことだったのですが。

 私    :あなたたちは18歳から選挙だね。
 A子ちゃん:絶対行かなきゃダメ?

 ただ、それだけの会話でした。この会話の前段で、自分の頭で物事を考えられる人に成長あれというような主旨の話をしていた流れの中での発言ではあったのですが、私はこの発言を聞いて「この子は真面目に考えようとしているな。今、揺れているな」と感じました。
 その後、彼女は行きたくないと思っている胸の内を吐露。彼女は選挙で誰を選んだらいいのかわからない。どんな人が選挙に出ているのかも分からないし、何を考えている人かも分からない。要するに、自分に人を選ぶ知識が伴っていないのに人を選べるのか、選んでいいのかと考えているのです。人を選ぶという責任を、自分は果たすことができるのかという怖れや不安が彼女の心を大きく揺らしているのが解りました。

 実にすばらしいお子さんです。自分たちがまだ全く世の中のことを知らないというこの年齢の当たり前を当たり前に感じている。彼女が真剣で真面目に考えるからこその不安であり疑問です。本当にすばらしい。
 さて、この会話の続きとして、私はどう答えたか。

 私 :そりゃ、私たちのリーダーを選ぶんだからなぁ…。
    行かないってわけにもいかないよね。
    でも、解ったよ。そうだね、人を選ぶって責任あるもんね。
    真面目に真剣に考えているんだね。えらいよ。

 まだ、彼女にこの場で答えを与える必要ないと感じました。彼女が吐露できたことでいいんです。ちょっと方向性は示唆しましたが、私の考えは封印です。その後、他の子どもたちも一緒に雑談するなかで、今、子どもたちの間で関西の”元県議の政務活動費事件”が大きな話題になっていることが分かりました。なんと、中にはこれをテーマに劇や歌を作る子まで出ているそうな。
 メディアへの露出の”面白さ”も手伝ってか、子どもたちは意外と世間を観てますね。子どもたちの選挙の入り口が「不正事件」というのはなんともトホホですが、しかし、子どもたちの何気ない一言に隠された”揺れ”に接することができたこと、吐露してくれたことを本当に有難いと感じました。

 子どもの何気ない一言を聞き分けて成長を見守る。このブログを見てくださっている皆さまの中にも、ご自分のお子さん、お孫さん、また、様々なボランティア活動などで地域の子どもたちと接する機会のある方も多いと思いますが、「18歳選挙権」は子どもたちを大きく揺らしていますよ。他にも、きっと同じようなことを感じているお子さんはいるはずです。
 子どもたちの柔らかな心を大切に育てていきましょう。大人が子供の心にズカズカと押し入って、「大人色」を塗るのは禁物です。子どもに考える環境を提供するのが大人の役割です。大人はパレットの上に絵の具を置くがごとく。そして、子どもが自ら絵筆を持って色を塗るのを待つ。
 忍耐のいることですが、そこははやる心を抑えて見守りましょう。

 さて、前述の彼女は、彼女の疑問や不安に寄り添う助言や導き(自分で考えるための)次第で大きく成長すると感じます。子どもがつぶやくひと言は大人が思う以上に複雑な感情から生まれています。私もそのことを改めて肝に銘じた次第です。昨日は子どもの柔らかな感性に触れた喜びに浸っておりました。気付かせてくれた彼女に感謝です。
 ちなみに。私は彼女との会話の中で自分の身分は明かしませんでした。今、彼女にとって私がナニモノかは全く知る必要はなく、逆に彼女の思考を邪魔する「毒」かなと思ったからです。
 後は、彼女が疑問に上手に寄り添ってくれる大人と巡り合ってくれることを心から願うとともに、幸手市が子どもたちをのびのびと思考させる学びの環境たらんことに尽力していかなければと決意するばかりです。

 子どもの成長に伴走するというのは長丁場です。子どもが心を見せるのは一瞬です。そして、見守る大人は時期が来ればバトンタッチ。だからこそ、大人の連携が必要なのです。心の揺れる一瞬を見逃さないために、複数の大人が連携することが大事なんですね。それが本当の連携です。そして、その複数の連続した見守りの目が”地域”であり、地域の”風土”そのものなのではないでしょうか。

実は、昨日の出会いで、私もカノジョたちに選ばれる側の議員として頑張らねばと、下帯(○○どし)を締め直した、いや、襟を正した次第です(笑&大真面目に)。長々とお許しを。