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企業版ふるさと納税に思う

2016.02.11

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自治体に寄付をした企業の税負担を軽く…

 昨日の日経新聞に、「自治体に寄付をした企業の税負担を軽くする企業版ふるさと納税の規定を盛り込んだ地方税法の改正案が9日、国会に提案された」とありました。

 制度が始まれば、寄附をした企業は法人住民税や法人事業税から寄付額の3割が差し引かれるという内容のようです。政府は年度内に成立させ、16年度から実施したい考えだということでした。
 一体、何が起きようとしているのか。このブログでも取り上げましたが、例えば、道後温泉本館のように、その地方の創生に寄与する事業を進めるのなら、「地方は寄附者を募りなさい」ということなのか。地方分権を地で行く「自立性」=自力で資金を集めるチカラが問われるということなのでしょうか。

 ただ、この構想には「慎重に」と提言もあり。その一例がこうです。
「現在でも、企業の自治体への寄付は損金に算入できる。仮にふるさと納税で負担ゼロに近い形で寄附が可能になれば、本来は立地する自治体などに治めるはずの「税」を利用する形で、企業が自治体に営業活動を行う可能性がある。自治体による許認可や補助金のような「見返り」を期待するなど、問題を孕む寄附を助長するおそれもある」(毎日新聞 2015.8.3)

 私も同感です。今のような行政の”不透明さ”が外部からわかりにくい仕組みの中では、私も運用には注意が必要だと感じます。前述の道後温泉本館の例を出しては恐縮ですが、しかし、当時も賛成・反対があり、賛成派となった人たちの中にはやはり利権の恩恵にあやかる人もいたとみるのはあながち間違いではないと思われます。テレビで紹介されていた「終身入湯券」では済まない政治劇は当時もきっとあったと推測できますよね。それでも後世に「財産」を残せた町はいいでしょう。鳴かず飛ばずな企画に利権がらみの許認可が横行すれば、必ず町は陳腐化するというもの。

 さて、国会でどのような審議がされるのか。都市部の自治体からは、地方への「税源移譲」が筋との主張もあるようです。経済は大事です。しかし、最近のあまりに経済中心の世相に付いていけない。生き馬の目を抜く社会で一部の”知恵者”のみが生き残る…。孫・子の時代をそんな時代にしたくないですね。急速な時代変化が日本の風土や文化、日本人の気質まで変容させてしまうのではないか。最近の変化の嵐に溺れそうな私としては大いに懸念する状況です。こちらも注目ですね。