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市長提出議案に対する発言通告(質疑)より 公共施設整備基金からの繰入金への疑義を質問 「有限な基金を頼る財政運営で大丈夫か」
3月2日、質疑が行われました。
幸手市議会では議案審議は3つの常任委員会に分割付託しています。各議員は2つの常任委員会に所属しますが、1つの常任委員会には加わることができません。そこで、所属外の委員会に付託される議案に関して疑義を質す機会が与えられます。これを「質疑」と呼んでいます。
質疑には議案提出者である市長が出席していますので、市政運営に対する考え方などを議案の範囲内で行う議員もいます。議案質疑は、一括質問一括答弁で再質問は1回という決まりがあります。一問一答の一般質問のように何度も質問を繰り返すことはできません。
今回、質疑通告を出したのは中村孝子議員、武藤寿男議員、大平泰二議員と私松田まさよでした。中村議員は文教関係で、武藤議員、大平議員、私は総務関係の質問となりました。私は、平成28年度一般会計予算で公共施設整備基金から150,000千円を繰り入れて実施する事業と財政の考え方を質問をしました。
市からは、古川橋の架け替え工事に30,000千円、西口土地区画整理事業に120,000千円をこの基金から繰り入れるとの答弁でした。この2つの事業は大事な事業です。これらに予算を付けるのは当然です。特に西口整備の本丸である土地区画整理事業に予算が付けられたことは大いに評価をするところであります。が、しかし、問題はこの基金は市の「財政収支の予測」では31年度に枯渇することがシュミレーションされていて、この基金から区画整理事業への繰入は、2か年度連続となっていることです。今年度は150,000千円が繰り入れられています。31年度までに基金を全部吐き出すような計画で本当に幸手市の中長期の財政運営は大丈夫と太鼓判を押せるのか。
これまでの市の財政運営では、市長鳴り物入りの駅舎整備とかぶる5年間をこの基金で賄うという発想のよう(これまで明確に説明されたことはなし)で、これを「計画的」としています。今後、人口減少、市税収入の減少は避けがたく、さりとて状況を打開する有効な施策も示されていない現状、基金頼りの財政運営で短期的にクリアしたとしても、その後の財政運営がどうなるのか。財政再建団体への転落一歩手前まで行った苦い経験をしている職員ですから、数字上、財政が破たんするような財政運営はしないとは思います。しかし、問題は財政の中身です。
基金運用では、新年度は財政調整基金からの繰入が750,000円と近年にない規模となっています。財政調整基金とは、予算における財政収支の不足を補う財源のことで、これまで幸手市では毎年4~5億円程度の繰入をしてきました。新年度の750,000千円の投入は破格です。これは臨時財政対策債の発行抑制の影響が考えられるかと。しかし、臨時財政対策債の発行は国自体が抑制の方向にあり、この傾向はこれからも続くと推測されます。
幸手市が財政再建団体一歩手前まで落ちた時、市民サービスのカットを余儀なくされたことを思い出してください。あれは町田前市長が悪いのではなく、財政再建団体とならないためにとらざるを得ない対応だったのです。あの頃は、まだみんな若くて元気でした。しかし、幸手市はこれから状況が違います。ここで必要なサービスがカットされるようなことは絶対に避けなければなりません。
私はこれまで、現市政の基金の積み方に大いに疑問を感じてきました。現市政になってから急に剰余金{年度の終わりに余ったおカネ)が増えています。財源不足を補うために国から交付される地方交付税約20億円の半分にも当たる10億円超ものおカネを毎年余らせる財政運営は本当に正しいのでしょうか。財政当局は「計画的」と言うかもしれませんが、その積立の方針や処分の基準も明らかでなく、「公共施設」という言葉の定義も私はもっと厳しく定義すべきだと感じます。今のママなら、市長の第2のポケットです。何のために、どのような事業にどのように充当するという計画も詳細に説明されたことはありません。執行残(入札で余るおカネ)や行財政改革の成果もあるかもしれませんが、しかし、無理な財政運営を担保する財源として「余らせた」ということはないのか。疑問は募ります。
今回の質疑では定義があいまいな「公共施設」の定義をもう少ししっかりと定義づけ、市民、議会、行政が共有するべきではないかと問いました。
市の答弁では「公共施設に街路なども含まれる。単なるハコモノだけではない。これまでもこのように支出してきた」ということでありました。しかし、街路も家屋移転補償費も含めて「公共施設整備」というのか。物事の定義は大事です。基金の目的や定義をもう少し詳細に位置付ける必要性を感じるとともに、区画整理事業はしっかりと年度予算で手当てするような事業執行と財政運営が必要と感じます。
さて、話は少しそれますが、市長は各小中学校にエアコン設置をするとの公約を掲げています。これも総額で3~4億円はかかるとされています。これにも基金を充てるのでしょうか。また、幸手市はこれから「公共施設(純然たるハコモノ)整備」に備えなければなりません。庁舎の耐震化及び建替え問題も先送りになっています。
駅舎整備や区画整理事業が延期、延期となる中で、新しい課題が積み上がっています。さらに、駅舎整備等で予定している国費の満額配分の確実性について、強気な発言を繰り返してきた執行部のトーンが下がっています。本当にこのような資金計画で幸手市は持つのか。
予算を人質にするわけにはいきませんが、しかし、本当にこのような予算を許していいのか。本当に悩ましい限りです。今までにも増して、市長、執行部、議会、そして市民との対話が必要だと感じます。
まずは、何かご意見がありましたら、市に提出を。そして、私にもお聞かせいただければ幸いです。これから市議会も「議会報告会」の開催実現に向けて話し合いを進めます。皆さまにはどうぞ、これからも市政に関心をお持ちくださいますようよろしくお願いいたします。