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押し寄せる水道管老朽化

2016.05.16

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NHKクローズアップ現代より

 昨夜、NHK番組で水道管の老朽化について放送をしていたのをご覧になりましたか。私は途中、京都市の事例から見かけたので、今朝、ネット検索してみましたら、昨年10月に放送されたNHKクローズアップ現代の再放送だったのでしょうか。ネット情報に内容があがっていましたので、幸手市の水道ビジョンと併せながら皆さまと少し考えたいと思います。

 幸手市では、平成24年3月に幸手市水道事業基本計画「幸手市水道ビジョン」を策定しています。幸手市の水道事業は昭和36年に市内の一部へ給水を開始。現在は、機械電気施設や石綿セメント管の更新などを主体とした事業を実施していますが、今後は、水道施設や管路の多くが更新時期を迎えることとなり、これらの更新に多額の費用が必要となることが想定されています。

 現在の幸手市水道ビジョンの目標年度は平成33年度までで、計画期間は平成24年度(2012)~平成33年度(2021)となっています。埼玉県が平成23年3月に策定した「埼玉県水道整備基本構想」では、水道に関する様々な課題に対応するためには、広域化が有効であるとし、県内の水道事業者に対して段階的に広域化を進めていくことを示しており、幸手市は、久喜市、白岡市、宮代町、杉戸町、春日部市の6事業体で第1ブロックを構成し、広域化計画が進んだ場合は、平成42年度(2040)に事業統合がなされることになるようです。幸手市の水道ビジョンでは検討が進められるようになれば協議していくことが謳われています。

 さて、気になる水道管の管種別延長と構成割合について、幸手市水道ビジョンから数字を拾ってみます。幸手市の導水管・排水管の総延長は278.3kmです。 
   管種           延長     構成比    
 DIP(耐震継手)       7934m   3.6%
 PE (耐震継手)        114m   0.1%
 SP (鋼管)         2580m   1.2%
 DIP(ダクタイル鋳鉄管)133,913m  60.1%
 PE (ポリエチレン管)     223m   0.1%
 YP (ビニル管)     57,346m  25.8%
 CIP(鋳鉄管)         198m   0.1%
 ACP(石渡セメント管)  20,364m   9.1%

 専門的なことはよくわかりませんが、上の3管は耐震管とされており、6割を超えるダクタイル鋳鉄管は香日向住宅でも使用されてるものですので、香日向住宅開発と同時期に布設された管以降は同じものが使用されているのではないかと推測いたします。

 さて、他の自治体の水道管老朽化で問題を発生させている原因ですが、大きいのは老朽化の目安となる40年を超える水道管の更新です。秩父市の事例では、40年超えの水道管が120km(2割)に達しており、年間700件を超える修理依頼に対応しているとのこと。京都市のニュータウンの水道管破裂事件の場合は、土壌の酸性度が強くて、水道管の劣化を早めたという事情もあるようです。

 幸手市の場合、気になるのは約20kmある石綿セメント管ですが、これは最優先で更新されており、今はほとんどが更新済みとなっているとの原課の話しです。では、その次に気になるのはやはり更新費用の問題です。秩父市のケースでは延長600kmの水道管で年700回程度水道管が破裂、漏水が1時間あたり1トンから2トンと推測されるとのこと。浄水場から各家庭に届くまでに漏れ出す水は30%にもなると見られているそうで、このようなことが日常的に起こるようになると大変です。

 幸手市では、現在、今後5年間の重点プロジェクト計画と資金計画がまとめられており、25日に議員全員協議会で公表されることが予定されています。今、市の財政に大きく立ちはだかるのは、駅舎整備費です。28億4500万円をかけて駅舎を整備することで、他の事業にしわ寄せがいき、例えば、水道管の破裂など、市民生活に後々、大きな影響を与えるような財政計画は許されません。水道管の老朽化に対しては、使用料の値上げも1つの選択肢ですが、住民の生活の基本となるインフラサービスでそれを選択するのはどこの自治体でもなかなか困難です。また、全国の自治体の中には、岩手県矢巾町(やはば)のように、地域のミーティングで「どの水道管を残して行くか」という課題に住民の意見を反映させるということをやっている自治体もあるようです。ちなみに、矢巾町は面積67.32?、人口27,675人という、面積は幸手市の2倍、人口は1/2という自治体です。

 いろいろな情報を目にする都度、幸手市に引き寄せて考える習性がついてしまいました。幸手市の特徴として、まず、面積が小さい=インフラの無駄が少ない、というのは大きな強みではないでしょうか。それを無用に伸ばさない政策的決断も必要でしょう。もちろん、市も県も、あるいは国も対策は考えていると思いますし、今日の数字くらいでは何も分析できないかもしれませんが、もし、関心のある方は、幸手市のHPの各課案内から水道管理課のページにいって「水道ビジョン」をお確かめください。そしてもし、何か気になることがありましたら私にもお知らせいただければ幸いです。

長くなって恐縮です。