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東京都 新年度から私立高の無償化

2017.01.19

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世帯年収760万円未満の都内の私立高校生に対して独自の給付型奨学金拡充で授業料を実質無償化

 東京都は新年度から都内の私立高の平均授業料にあたる約44万円を国と都で給付し、教育機会の標準化を図る考えで、都の支出分の総額は今年度分より88億円多い138億円となる。拡充分の原資は予算全体の無駄の見直しなどで捻出し、従来の私立高向けの補助は見直さないということ。(1/17 朝日新聞)

 東京都が無駄の見直しなど自助努力で政策原資を捻出されていることは本当に素晴らしいことだと思いますし、それこそ、自治体のあるべき姿だとは思います。しかし、お隣の久喜市でも東京理科大が都内回帰を進めるなど、地方の創生に水を差すような事柄が多発している現実において、財政力をバックに、都内だけで「機会の標準化」を図るという手法は「国土の均衡ある発展」(少し古い言葉ですが、私はある程度の均衡は必要と考えています)を阻害することにならないのか。

 この施策で東京都が支出する138億円というのは幸手市の一般会計の約3分の2です。教育の1つの政策だけで幸手市の予算の3分の2を計上できる東京都。私学助成などの問題は道府県が対応を考えることになるのでしょうが、埼玉県は一般会計予算が約2兆円、東京都の5分の1です。埼玉県でも現在、私学補助は出されていますが、埼玉県が東京都のこの動きに追従するとなると県内市町村への県の支出金の分配などへの影響も出てくるでしょう。規模しい状況です。

 先日も書きましたが、やっと地域創生のエンジンが温まってきた地方に冷や水を浴びせることにならないか…。私も泣き言は嫌いです。地方は自立に向け、どのような状況でもできることを最大限努力するしかないとの思いはあります。しかし、小池都政のような手法では、地方の多少の努力では水の泡となりかねない。
 私は東京のエネルギーを奪うようなことは日本にとってプラスではないとの考えに立っていますが、しかし、「東京へ東京へと草木はなびく」という状況で、またぞろ「東京一極集中」「東京でなければ」とのマインドを国民の中に再燃させることになれば、地方はどうやって生きていく!?
 今後、地方、特に道府県知事会や全国市長会などはどのような対応をしていくのか。「税源移譲」「地方交付税の算定基準見直し」などを求めていくことになるのでしょうか。

 幸手市も新年度、本気の筋肉質予算を組んでいかなければ、との思いを強くしている次第です。市民の皆さまには幸手市に限らず、どこの自治体でもこのような状況で施策を推進していることを念頭に、新年度以降の予算編成を見守っていただけたらと存じます。