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生活防衛、未来の社会に何を遺すのか
戦後72年となり、単一の社会の在り方やモデルの崩壊、東西イデオロギー的対立に代わる新たな対立軸などが鮮明になってきました。グローバルとローカルのバランスを取りながら、いかに国民や住民の生活防衛をし、社会の未来図を描いて行けるか。対応力が問われていますね。
そんな中で、今日の日経新聞「AIと世界」として1面と7面に特集が組まれていますので取り上げてみたいと思います。
「第1次産業革命では一般の労働者が機械の登場による失業を恐れた。飛躍的な進化を遂げつつある人工知能(AI)は、法律や医療など高度な専門性を伴う分野でも雇用を奪うリスクをはらむ。反面、AIは人類の能力を広げ、生活水準や生産効率を向上させる可能性も秘める。AI時代到来で不用になる能力が選別されていく脅威を乗り越え、どんな能力を磨くべきかが問われ始めている」と。
さて、皆さまはこれからの社会でどんな能力が必要でどんな能力が不要となるとお考えでしょうか。私はどちらかというと”アナログ”タイプですが、これからデジタル世代が社会の中枢を担う時代は必ず来ます。ロボットや人工知能と戯れたり、勉強をしたり、さらには様々な苦境をサポートされたり、癒しやホスピスまで人工知能の恩恵を受けるような幼少期を過ごす世代が表れるようになると世の中の価値観が大きく変化することが考えられます。
日経は、浸食される仕事として、司法・医療など頭脳の領域でエリートも競合、国際化の波で訪日客が増加する温泉旅館の深刻化する従業員不足を解消するのは自動翻訳機。言語の異なる客も従業員も自動翻訳機(AI)がつなぐとしています。
では、AIが普及する時代の到来に向け人は何を磨くべきかという点については、「AIが普及した社会で一番希薄になるのは、他者に共感する力を持つ人間だ」と、米マイクロソフトのCEO。「医師の仕事は自動化できたとしても、看護師や介護福祉士などは人が足りない」と指摘。この分野はAIでは補えないと。
AI時代を生きるうえで、カギとなるのが「創造性」「経営・管理」「おもてなし」の3つとの学者説も。AI時代に重要になる能力を総務省が有識者に聞いたところ、主体性、行動力などの「人間的資質」「企画発想力や創造性」が最も高く、コミュニケーション能力などの「対人関係能力」が続き、語学力などの「基礎的素養」との答えは少なく、人ならではの強みを身に着ける必要性が浮かび上がったというのですが。
では、共存するにはどうしたらいいのか。日本はこれから労働人口が減る。働き方改革も含め、AIにできることはAIに任せてしまえば「業務の総量を減らし、生産性を上げられる」とコンサルタントは指摘。AIとの共存は人にしかない能力にさらに磨きをかけることが求められる、と結んでいます。
何となく今の思考の延長線上の「当たり前な考察結果」に落ち着いている感ありですが、改めて私たちの身近な環境を考えてみるとどうなるか。様々な窓口業務や事務作業は現在でもどんどん機械化、情報化されています。マイナンバーカードもこのような社会を見越しての導入でしょうから、今後普及が進めば効率化だけではない影響を社会に与えることは間違いありませんよね。さらに自動運転の自動車、癒し系アンドロイド人形などの普及で資格が必要な職業やホスピスの分野まで置き換え可能なモノ・コトが増えていく可能性あり。「鉄腕アトム」がそうですよね。裁判などですら、日本のように判例主義なら裁判官はAIでもOKか。情状酌量もAIの方が公平感があるかも知れないくらいですよね。また、今はスポーツの世界でも「ビデオ判定」花盛りです。蓄積情報量や検索能力、瞬間認知でAIに分がある分野では人間は勝てない。
これから50年後には現在の多くの仕事がなくなるとも言われています。このような時代が来ていることを、私たちは強く認識すべきではないでしょうか。これからの数年を無為に過ごしてはいけない。個人の生活防衛も然り、自治体の財政運営然りです。今、一体何に投資すべきなのか。未来に何を遺して行くのか。本気で考えていくべき時が来ていますね。
♥チャップリンの「モダン・タイムス」でしたっけ。マシーンに食事を食べさせてもらうシーンを思い出しますね。あのころのマシーンが人の食事リズムを考慮できないベルトコンベアーでしかなかったところに風刺があったのでしょうが、これから先、人の気配や機微、その人ならではのクセや特性などもすべて推し測って情報に置き換えられる能力を持ったAIが出てきたら、風刺にもならない。返って人間同士よりストレスのない関係性が構築される可能性も。そんな世の中が生まれるのでしょうか…。