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先の号の続きです
さて、3つめは「幸手市部設置条例等の一部を改正する条例」について。職員定数の増改正と新たな部の設置が提案されました。
まず、新たな部の設置について。目玉は来年度の組織改編で「総合政策部」を新設すること。これまで幸手市の弱点だった企画力・情報発信、意思決定の明確化を強化するのがねらいとの説明。また、以前分割したスポーツ振興課と社会教育課を元の「社会教育課」に再統合するほか、いくつか名称変更や所掌変更も。4月の市報で詳しい情報がでると思います。組織改編が狙い通りの成果を上げる”キモ”は適材人事です。看板を付け替えても組織のマインドが変わらなければ変化は起きません。来年、どのような市長人事が行われるのかも注目です。
そして、職員定数については、定数を現在の市長部局270人→310人にし、教育委員会を含め330人→360人に改正するものです。執行部からは、定員増改正する理由として「増加傾向であった再任用職員が減少局面となり、これまで再任用職員が担っていた仕事を正規職員に戻し、平成25年当時の職員数にする」との説明が。
ところが、総務常任委員会での審議で、実は現在、職員数は283人で、すでに職員数が条例の上限を上回っていることが判明。条例違反の状態となっていることが分かったのです。
定員オーバーの要因を聞かれて執行部からは「新しい任用の仕方の中で、カウントの仕方を間違った。整合性を欠いていた」と謝罪あり。カウントミスは保育士等の雇用形態が臨時任用から任期付任用となったことによるとのこと。いろいろ事情はあるかもしれませんが、しかし、条例違反は間違いなく問題あり。加えて、職員の採用等を含め管理している「幸手市職員適正化計画」にも合致していない。自治体にはいくつもの計画がありますが、市の企画の総本山である政策調整課で計画軽視、条例軽視がまかり通る組織で大丈夫か。
職員一人を雇用した場合の生涯人件費は数億円とされています。今回、40人もの定員を増やすことによる将来人件費をどう見積もっているのかを訊ねましたが、試算はないという答弁。そして、「この数字はあくまで上限」ということが強調されました。本来なら、行政改革や事務の省力化などの成果とともに語られるべき職員定数ですが、幸手市には現在、行政改革の大綱や計画はありません。私はずっと行政改革大綱の策定を求めていますが、あまり必要はないというスタンスです。
結果、この議案には一人の議員が反対。いろいろ問題含みの現状ですが、「条例の定数はあくまで上限」と強調する執行部の人事管理は今後注視していくこととし、私は以下の指摘をして賛成することといたしました。
「一般的に一人の職員を採用すると定年まで当該職員が勤務した際の経費総額は数億円と言われており、一人の職員を正規採用することは、その経費相当額が将来の市民の債務負担行為となるものとも考えられる。それゆえ、人件費における議会のコントロールを確保することを目的として定員が条例で定められているのである。それを考えると、まず、定員の上限がきっちりと守られることは前提。今回のような事後対応ではなく、定員管理の時宜を逸しない事務執行を要望する。併せて、再任用、臨時職員、パート職を含めて人件費。であれば、行政改革や事務執行の省力化などの議論は定員適正化や定員増減とセットで考えていくべきものであり、今後、早急に行政改革の目標を数値化・目標化し、明確な評価がなされる環境を整備されることを要望する」
今議会に提出された職員給与の引き上げ、職員定数増で、人口減少局面の幸手市にとって義務的経費が増大することは間違いありませんが、そのような議論を抜きに、議員や市長等まで給与や報酬が自動的にあがることに市民の皆さまの納得は得られるのか。
職員定数の上限厳守、適正人事管理、さらに行政改革や省力化などを今後も注視して参ります。