2023.09.25

平成4年度の決算
9月議会は全ての議案は可決されたとご報告いたしました。私も決算、補正予算、条例等全ての議案を賛成、承認いたしました。が、今、市井では令和4年度一般会計決算の実質収支額=剰余金が余りすぎだとする言説が負のイメージとインパクトをもって市中に流れているようです。
その話しがどのようなところに焦点を当てて「余りすぎ」と判断されているかは定かではありませんし、数字だけを見れば、仕事をせずに貯めたようにも見えます。しかし、そんなことはありません。私も決算認定をした一人として、このブログでご説明方、少し触れておきたいと思います。
【令和4年度幸手市一般会計決算の実質収支額】
まずは15億円の分解から。
実質収支というのは"余ったお金"ということですが、
15億円のうち、
❶4億円は、国庫等に戻す返還金です。
まるで令和4年度の"黒字"のような顔をしていますが、返還金は返還してしまうと全く手元に残らないお金です。このような返還金は毎年度発生します。国等から概算で交付された委託事業等の事業費が確定したら余った予算は精算。決算で一旦、実質収支額として扱い、9月補正で返還を手続します。令和4年度は新型コロナワクチン接種業務委託料などで返還が多額となりました。
15億円➖4億円=11億円
❷7.7億円は、財政調整基金に繰入れられました。
このうち、5.4億円もまるで“黒字"のような顔をしていますが、これは年度当初に基金を取り崩しているのでその穴埋め分と言えます。
2.3億円は、純粋な積み立てです。そもそも、財政調整基金は、標準財政規模の10〜20%、幸手市の財政規模では約10〜11億円程度が適正残高とされますが、令和元年度〜令和2年度は駅舎整備など大型事業費の支払いを基金の取崩しで対応した結果、基金残高は6億円に激減。令和3年度、4年度でようやく適正残高を盛り返したというのが実態です。
11億円➖5.4億円➖2.3億円=3.3億円
❸1億円は、庁舎建設基金に積み立て。
幸手市庁舎は耐震基準に満たない建物であり、安全性やバリアフリー、防災拠点として課題を持つ施設です。庁舎建設は、事業費が単年度予算で賄える規模ではなく、また、世代を超えて使われる施設であり、世代間負担の公平の考え方により、目的基金が設置され運用されるのがどこの自治体でも常套です。新庁舎の形態や規模、場所、建設方法などは、昨年度、市長が示した「青写真」をもとに、今後、「市庁舎在り方検討審議会」で議論が始まります。
市庁舎など要らないというご意見も聞こえて来ますが、しかし、いくらDX化が進んでも、市庁舎は必要です。どんな規模の庁舎が相応しいのかは今後の議論ですが、いくら簡素な建物としても先立つものは必要ですから、この基金の積立に是非、ご理解を賜りたいと思う次第です。
3.3億円➖1億円=2.3億円
❹2.3億円は、令和5年度補正予算へ
幸手市では、当初予算で見送った事業や年度内の市民要望などへの対応を、前年度の実質収支の状況を見ながら9月補正予算で改めて予算化するのが慣例となっています。今年度も、公共施設の光熱水費の高騰分への措置や、路面表示等、香日向汚水処理施設補修工事や道路、水路、側溝などの補修、整備、雑草刈払等、館の維持修繕など、身近な市民サービスの拡充のほか、幸手駅西口土地区画整理事業区域内の土地開発公社所有地購入(116,011千円)などにも充当されています。
2.3億円➖2.3億円=0
これが実質収支の配分です。
決して仕事をしないで貯め込んでいるということではないことはお分かりいただけたかと思います。ただ、私がもし、幸手市の"仕事量"について言及するなら、それは財政健全化指標の一つである「公債費負担比率」と「将来負担比率」がチェックポイントかなと思っています。これについてはまた機会があればこのブログでも取り上げたいと思います。
♥余談ですが、私の庁舎建設の理想は、「DXを十分に取り入れた超ミニマム&コンパクト庁舎」です。市民が庁舎に来なくとも用事が足りる。そんな時代は来るのかも知れませんが、そんな時代になればなるだけ、市民の協働的な活動や円滑なコミュニティ活動をサポートすることは行政の仕事として益々重要です。私は、職員がエリアマネージャーとして地域に溶け込み、地域課題解決の伴走者となる仕組みが働く庁舎が理想と考えています。皆さまはいかがでしょう。これから始まる庁舎の在り方検討審議会の審議に注目です。
♥♥また、幸手市では今後、耐震性能に問題のある市庁舎の整備をはじめ、幸手消防署の建替え、桜泉苑の旧焼却施設及び煙突の撤去、後に都市計画道路「杉戸・幸手・栗橋線」の延伸に繋がる西口土地区画整理事業、内水対策、公共交通の改善などインフラ面やハード面の整備を着実に進めて行かなければなりません。特に内水対策は、木村市政になって改善計画が加速していると感じていますが、どんな事業を推進するにも、要は一番には財政運営です。
♥♥♥さて、15億円を実質収支とする財政状況の内実をお知らせして来ましたが、様々な分野の事業の優先順位を考えるのは市長の役割です。市長選が昨日から始まりました。皆さまが、市政を、市の財政を判断される材料となれば幸いです。
議員の本来の仕事は市政のチェックです。まちの活性化のために、市の財政が効果的に活用されるよう私も引き続き、良くよく見て参りたいと思う次第です。