縮小社会を生きる
7月30日の毎日新聞朝刊に元総務相で前回の東京都知事選で小池知事に敗れた増田寛也氏の寄稿文が載っていました。増田氏は平成25年に日本創成会議の座長として「地方消滅」というショッキングなレポートを出し注目された方で、幸手市も埼玉県では数少ない消滅都市としてランクアップされたことをご記憶の方もあると思います。
人口問題は私もこのブログでたびたび取り上げてきましたが、地方創生がスタートしてから間もなく3年。幸手市の『地方創生総合戦略』が策定されてから2年が経ちますが、果たしてどのような成果を上げているのか。
幸手市の人口増減をみると、今年7月1日現在の人口は前月比▲65人の52,159人。白岡市が前月比56人増の52,437人で、幸手市はついに白岡市に抜かれ、埼玉県40市中、一番人口の少ない市に。片やマイナス、片やプラスで約120人の差が生まれている。この傾向をしっかり検証し、政策に反映していかなければ、まずますその差は開いていくことになるでしょう。
増田氏の寄稿文では、「縮小社会」「所有者不明の土地」「人手不足」「多様な働き方」などをキーワードにして「地方創生は検証が必要」と問題提起しています。これから経験する人口の急減は日本史上初めてのことで、どんな社会問題が生ずるのか。影響はどこまで拡大するのか。想像するのも難しいとしながら。
先日、夫が薦めてくれた本を読みました。『縮小ニッポンの衝撃』というNHKスペシャル取材班の記録です。日本の自治体の中で唯一”破たん”を経験した夕張市を巣材したもので、以前、テレビで放映されていたのをご覧になった方もいらっしゃると思います。
人口減少が続く夕張市では住民サービスが削られ、公営住宅は「住民の命が危険」になるまで補修はしません。しかし、そのような中でも、若き市長は市の向かうべきビジョンを指し示すことで、少しずつ改善を図りつつあるということでありました。
夕張市だけではありません。今、国は都市のコンパクト化を進めています。コンパクト化とは縮小を意味するものではなく、機能集約とネットワークを効率的に構築することで住みよいまちを再編することです。
今、地方創生を進める中で、私は市のビジョンをはっきりさせることが一番重要ではないかと考えます。行政や政治がしっかりとしたビジョンを示すことで地域の民間投資の環境が整い、住民の方の将来設計ができるのではないでしょうか。そのための計画(設計図)を持たずして、まちの活力は生まれない。
このところ、国の動きも激しくなっています。まちづくりに関係する法律なども矢継ぎ早に打ち出されています。それらの社会の動きに対応できない自治体の住民には恩恵は生まれない。厳しいですが現実です。その地方自治体の舵取りは正しく首長であり、それをチェックするのが議会です。
人口減少問題は簡単な問題ではありませんが、座して待つことはできません。何が必要なのか。もう理念的なことばかり話している時期ではない。実践して修正する。やれることはまだまだあると思います。私は水害対策と住宅政策、人手不足を食い止める雇用、地産地消などが重点になってくるのではないかと考えています。立地適正化計画という国が奨励する計画もだんだん策定する自治体が増えているようです。この計画に位置付けられると国の補助などの支援も活用できます。
「住民の生命と財産を守る」のは自治体政策の基盤です。明日から8月になりますが、24日の一般質問通告締めきりまで、よくよく勉強し、地域の課題を整理して9月議会に臨みたいと思います。
為政者が”持論・自論”を展開するだけというのが一番NGなことであると自らを戒めています。皆さまには是非、いろいろなお考えをお聞かせくださいますよう。私もこれから市内を行脚し、皆さまのご意見やお考えを伺いたいと思っています。よろしくお願いいたします。