記事一覧

日本各地で進む治水対策 

2022.11.16

アイコン

利根川栗橋流域水防事務組合議会 視察研修@利根川上流河川事務所 千曲川河川事務所

利根川栗橋流域水防事務組合議会3年ぶりの視察研修が再開されました。

視察先の千曲川は令和元年の台風19号で甚大な被害が発生。その後、令和2年から進む「信濃川水系緊急治水対策プロジェクト」を。また、利根川上流河川事務所では「首都圏氾濫区域治水対策」として栗橋地区で進む堤防強化工事の状況を視察しました。

毎年、全国各地で台風や集中豪雨などによる河川氾濫により甚大な被害が発生していますが、全国の様々な地形を流れる河川は一律に同じ対策はできませんし、住民の皆さんに合意とご協力を得ながら進める対策には長い年月を要します。治水対策はまさに国民の生命と財産を守る国家プロジェクトです。

この度の視察では治水工事や築堤の工学的説明を受けることができ、日夜、治水対策に真摯に向き合う国交省の皆さんや工事関係者のご努力への敬意と、改めて"水“を制することの難しさを感じました。
ただ、自然災害の甚大さが増す現在、治水対策を必要とする河川はまだまだ全国にはたくさんあるように感じます。私の実家の近くを流れる一級河川も利根川のスーパー堤防の厚みと比して、せりたった細い堤防が大河川の水を受け止める構造です。限られた予算の中、時代の要請に応える強化対策が進むことを願うばかりです。

ファイル 1773-1.jpeg ファイル 1773-2.jpeg
利根川上流河川事務所にて 
雨天のため工事現場は屋上から 幅広なスーパー堤防の築堤が進んでいます。

ファイル 1773-3.jpeg ファイル 1773-4.jpeg
先の台風19号で破堤し復旧された堤防を視察。
千曲川は複数箇所の堤防が破堤。それにより全半壊4,000戸以上、北陸新幹線車両センターの冠水など重要インフラにも大きな被害が発生しました。プロジェクトでは、堤防の強化とともに、河道の掘削、川幅の拡張、遊水池の整備など総合的な対策が国、流域市町村などの一体的連携で進められています。

臨時会 補正予算第7号可決

2022.11.02

アイコン

10月31日 議会臨時会 国の地方創生臨時交付金による幸手市の物価高騰対策を可決  

前の号の利根川安全祈願祭と前後する10月31日の令和4年度第1回市議会臨時会のご報告です。文章をまとめる余裕がなく前後してのご報告となってしまいました。

議案第57号 令和4年度幸手市一般会計補正予算第7号
規定の歳入歳出予算の総額にそれぞれ146,487千円を追加し、歳入歳出予算の総額を歳入歳出それぞれ19,030,054千円とするものです。

【内容】
令和4年9月20日付で内閣府から限度額が示された新型コロナウィルス感染症対応地方創製臨時交付金(電力・ガス・食料等価格高騰重点支援地方交付金)を財源に、エネルギー、食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に応じて必要な支援を実施するため関係事業費について補正予算を編成。国の制度要項の事業メニューを参考に編まれた補正予算です。

【主な事業】
◆ハッピーエール応援券発行事業(次世代・シルバー券)39,105千円
幸手市に住所を有する19〜29歳(4500人)、75歳以上(9500人)に2000円/人の応援券を発行。
◆光熱費等高騰対策支援金給付事業
埼玉県が示す単価を参照。
医療機関には前回のコロナ対策時の給付の1/2にて補助。
 高齢者施設等 15,429千円
 障がい児・障がい者施設等 1,417千円
 保育所等 521千円
 医療機関等 7,865千円
◆小規模事業者応援給付事業 36,690千円
市内小規模事業者(1,100事業所)に対し支給。
◆学校給食物価高騰負担軽減事業 45,460千円
小中学校の1から3月にかかる給食費を全面免除 
 小学生2,200人 中学生1,200人分

【歳入予算】
・新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金(電力・ガス・食料品等価格高騰重点地方交付金)119,487千円
・財政調整基金繰入金 27,000千円

臨時会ではいろいろな質疑もありましたが、少しでも早く住民に支援を届けるという市の考え方に賛意し可決されました。

♥私は、以前にもお知らせした通り、物価高騰の煽りは誰もが等しく受けているものであり、出来るだけ多くの方に満遍なく、濃淡なく行き渡ることが大事との立場で、これまでも水道基本料金の減免や全世帯へのハッピーエール券発行などを支持してきました。今回の支援策では、ハッピーエール券が次世代とシルバー世代に配分されました。子育て世帯への支援はいろいろ行われて来ましたが、特に、大学生や結婚前の若い世代は、アルバイト代や給料などが上がりにくい中で食費や活動のための交通費などの生活費の目減り感を、高齢者は光熱費の増加で食費や交通費、医療費を詰めるのは危険であり、それらの抑制マインドを埋める、支援の濃淡を埋める意味で私は有効な事業と考えます。市としては、19歳〜29歳は流出人口が多く、市内のお店を利用することで地域に密着して欲しいという願いも込めて年齢層を選定したとの説明でした。
私は若者世代への支援に賛成です。しかし、ひとつ言えば、願わくば16歳〜18歳という"食べ盛り"で子育て世帯から外れる高校生も対象にして欲しかった。しかし、今回の補正予算は国からの配分金に市の基金を足して行われるものであり、財政上、これがミリットとするしか仕方ないところも。これについては、次回、国の援助が配分される時は、あらためて高校生世代にも支援が届くよう要望したいと思います。

♥♥然りとて、補助に慣れて来るとつい、有り難さよりも足りないとの不満の思いも出てきがちですが、政府も財源が潤沢にあるわけでは無い中での支出です。国債発行額が上昇していることやプライマリーバランスへの考え方など、専門家ですらいろいろな考えが二分、三分する現状。私たちもできる限りの生活防衛を試みながら、まずは食べる、治療するなど生命維持を最優先として自らを守っていかなければなりませんね。何かお困りごとがありましたらご相談ください。一緒に考えて参ります。
 

利根川安全祈願祭

2022.11.02

アイコン

利根川が枯れないように 溢れないように 崩れないように…

昨日は、利根川安全会による安全祈願祭が、利根川栗橋地区にある八坂神社にて挙行され、利根川水防組合議会議員として参列して来ました。

ファイル 1760-1.jpeg式には利根川上流河川事務所、江戸川上流河川事務所、関東整備局などの国の関係者、県土整備事務所、東部消防組合、警察などの埼玉県関係者、水防組合の構成市町首長・議会議員、区長などの地元関係者が参列。祝詞にあわせて拝礼し安全を祈願しました。

栗橋地区の利根川は今、強化堤防の築堤工事が進行しています。昭和22年のカスリーン台風で利根川は決壊。流域住民だけでなく、東京都にも及ぶ被害となりました。直近では、初めて避難勧告が出された令和元年の台風19号で越水に迫る水位となったことが記憶に新しい出来事です。

利根川は群馬県に源流をもつ日本最大の流域面積をもつ大河川です。求められるのは、利水の恩恵を未来に繋ぎながら災害を起こさない治水です。祝詞にはその全ての安全を祈願する言葉がありました。

長大な堤防の築造工事に関わる土木技術者、工事施工者、そして、昼夜を分たず、住民の生命と財産と安全安心を守るために関わるたくさんの方々…。
いろいろなことに感謝を感じる安全祈願でした。

ファイル 1760-2.jpeg ファイル 1760-3.jpeg
手前が芝養生された強化堤防。写真に撮りきれない長大さです。

市議会行政視察② 新潟県見附市

2022.10.08

アイコン

見附市清掃センター 田んぼダムを見学

前号に続いて、見附市における視察研修の報告です。

【見附市】
見附市では
○ごみ焼却施設 見附市清掃センターについて(次世代型焼却炉)
○田んぼダムについて
の2つのテーマで研修を行いました。
清掃センターの見学は、幸手市が現在、焼却処理を委託している杉戸町環境センターの老朽化の観点から。田んぼダムは、幸手市の内水対策を考えるヒントとして、見附市の市街化区域への内水対策に効果が高いとされる事業の実地見学を試みました。

まず、見附市の概況ですが、本市は新潟県の重心地を有する新潟県ど真ん中に位置し、人口約4万人、高齢化率32.8%。面積77.91㎢。古くはニット等の繊維産業を基幹産業として発展。近年では県営中部産業団地への企業進出により産業構造が多様化。製造品出荷額もここ10年で約40%増加しているというまちです。令和3年度からの見附市第5次総合振興計画後期基本計画では、
①スマートウェルネスみつけ=徒歩や公共交通を使って生活できるまちづくり=の推進、②SDG s未来都市の実現、③ソサエティー5.0の推進をすべての政策に通じる大きな方向性として位置づけて政策を進めています。
ちなみに、見附市の令和4年度一般会計規模は172.9億円。市税収入は50.6億円、地方交付税41.9億円、市債発行は10.6億円。歳出では、土木費が23.5億円、公債費が18.1億円となっています。

このような財政状況の中、清掃センターは、旧ごみ処理施設の老朽化のため同じ敷地内に施設を更新。適切なゴミ処理、安定した運転を進めるため、施設の設計・施工・運営業務を民間事業者が一括して受託する「DBO方式」を採用。施設の処理能力・性能はすべて建設建設請負事業者の責任設計・施工により確保する「性能発注」で実施したとのこと。
事業内容は、
事業期間 :平成29年から令和21年(建設工事は令和元年5月まで、運営業務はその後20年間)
事業費 :総事業費 113.6億円(うち、建設工事請負金額51.4億円、設計施工監理委託料 0.7億円、運営業務委託契約金額62.2億円=20年間)
特徴 :竪型火格子式ストーカ炉導入

竪型火格子式ストーカ炉とは、従来のストーカ炉の乾燥・燃焼・後焼却の各ゾーンを垂直に積み重ねた新しいストーカ炉で完全燃焼とCO2の削減を実現できる独自の燃焼方式で、このバーチカル炉導入の決め手は、
①機械装置の損傷低減で長期間連続運転が可能なこと(火格子の損傷が従来のストーカ炉の約1/20。
②シンプルな構造で機械点数が少ないため故障率が低い)
だったそうです。20年間で62.2億円の運営業務委託料は、毎年、改定の協議が行われるそうです。方法は、前年の平均値と前回改定時の値を比較し、±1.5%を超過する場合、翌年度委託料に反映させることに。変動費(ゴミ量の変化や燃料費、水道料金、基本料金を除く電気料金、灰運搬費、不燃物運搬費の変動率)、固定費(経常経費としての人件費や維持管理費、電力等基本料金、補修費用など)に区分してそれぞれ判定されます。
単純に当初の運営業務委託料を20年で割ると年間約3.1億円となります。この金額が高いか安いか妥当かの検討はつきませんが、仮に20年後も使い続けるとしたら、もう少し維持管理費が上がる可能性もありますね。見附市さんの場合は、プロポーザルに2社の応募があり選定したそうです。
また、見附市さんは平成16年に近隣市と合併協議を行うも頓挫。近隣市も自前の焼却炉を運営していることから、この焼却炉は見附市単独で運営しているそうです。新潟県も最近になり、9ブロックでのごみ処理行政広域化を打ち出したようですが。また、旧焼却施設の解体は今後の課題ということでした。どこの自治体も同じような課題があることを改めて認識しますね。
ちなみに、見附市さんは燃えるごみ、燃えないごみ、粗大ごみが有料です。
ファイル 1751-1.jpeg ファイル 1751-2.jpeg ファイル 1751-3.jpeg

次に田んぼダムについてです。見附市さんは平成16年7月に水害に見舞われ、
①市街地の道路の機能が失われ市民がボートで救出されたり、
②周辺の湛水により小学校が孤立したり、
③刈谷田川が決壊し、流域の農地も完全に湛水するなど甚大な被害が出たそうです。

その後、浸水対策として、
刈谷田川の蛇行部分のショートカット、刈谷田川遊水池の整備、直径2.6m・長さ586mの管の埋設などのほかに、田んぼダムは新潟大学の調査で、見附市は取り組み効果の高い地域との判定を受け実施を決めたそうです。経費は安価に、整備も簡単、農家に経済的にも人的にも負担わかけないなど農家の方の理解も得て、県営圃場見附地区約1200haを対象に事業を実施。平成26年には実施率100%を達成。その後、幸運にも大雨に見舞われることなく、実測はできていないが、床上浸水は、ゼロとの理論上の検証結果を得ているとのこと。
また、今後の課題は、持続的な実施を可能にするシステムの維持、とのことでした。
ファイル 1751-4.jpeg ファイル 1751-5.jpeg

♥以上、報告でした。私の備忘録も含め、長文となってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

市議会行政視察報告① 新潟県三条市

2022.10.08

アイコン

3常任委員会合同行政視察で三条市、見附市に行ってきました

10月5日、6日は、常任委員会として、3年ぶりの宿泊を伴う合同行政視察を実施。バスで新潟県の2つの市にお邪魔してきました。雨、曇りの寒い2日間となりましたが、それぞれの市の先進的な取り組みを丁寧に説明いただき、有意義な視察となりました。以下はご報告です。

【三条市】
○廃校活用の取り組みについて(三条ものづくり学校)
今回の視察の主眼は「廃校活用」ノウハウの研修でした。幸手市でもこれまで統廃合で廃止となった学校施設が4校あり、東小学校➡︎日本保健医療大学に貸与、栄第一小学校➡︎売却、解体して住宅地として開発、栄中学校➡︎解体して東埼玉総合病院に土地貸与、香日向小学校➡︎幸手看護専門学校に貸与して現在に至っていますが、今後は市内小中学校の適正配置により廃止となる学校施設の出現も想定されることから視察のテーマを決めたものです。

三条市は、平成17年に旧三条市と2町村が合併して誕生。新潟県のほぼ中央に位置し、上越新幹線や北陸自動車道などのほか、交通網が集中する要衝です。市面積は431.97㎢、人口94,000人超で、産業構造としてはものつくりの盛んなまちです。しかし、三条市の課題の1つとして、製造業は従業者数が20人未満の小規模・零細企業の占める割合が69%と非常に高く、ハローワーク三条エリアの求人倍率を見ると、人材を求める動きは高いながら製造現場の人手不足が深刻になっていること、また、三条地域における若者層の流出が著しいなど、幸手市と同様の人口問題があり。そこで市の産業振興政策として、国内、海外販路の拡大や、古来から積み重ねられた鍛治職人の技の多様性、多様な加工技術を持つ企業の集積で多様な製品群の製造が可能となっている強みを活かしながら、"価格決定力の確保"という目標に向け、各種支援を展開しているとの職員さんの説明でした。

今回、視察した「三条市ものづくり学校」は、戦略的な小中一貫教育推進により廃校となった小学校をリノベーション。新たな価値創造をテーマとして、外部起業家集団によるスタートアップ支援、起業家人材育成を目指すプロジェクトです。平成25年から検討をはじめ、校舎改修費4.5億円をかけて施設を改修。平成27年度より、民間の株式会社ものづくり学校を指定管理者に指定し、年間約2600千円の指定管理料と指定管理者による貸オフィス、地域コミュニティへの貸館収入約1000万円で施設が運営されているとのお話しでした。
因みに、三条市では平成3年4月、三条市立大学を開校。工学知識と技術➕想像力➕テクノロジ・マネジメント能力を備えたテクノロジスト人材の育成に取り組むなど、教育分野を巻き込んだ産業政策が重層的かつ果敢に進められています。
なお、三条市の令和4年度一般会計規模は、461.4億円。市税収入122.9億円、地方交付税は109.5億円、市債発行45.6億円。歳出の商工費18.1億円、土木費48億円。維持補修費は13.2億円。投資的経費は30.1億円、公債費は94億円と、幸手市比ビッグサイズです。

ファイル 1750-1.jpeg ファイル 1750-2.jpeg ファイル 1750-3.jpeg ファイル 1750-4.jpeg

♥ 幸手市でも今後、市内小中学校の適正配置の観点から、廃止となる学校施設の発現が想定されます。また、幸手市の公共施設は今後、40年かけて現在の床面積の30%削減が目標とされていることから、どの公共施設をどう継続使用していくか、今後、十分吟味をしていく必要があります。今回、三条市さんで学んだことも参考に、より良い幸手市の将来のあり方を皆さまと考えて行きたいと考えます。

♥♥長くなりますので次号で見附市さんの視察を取り上げます。

ページ移動