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合同行政視察@明石市立図書館 報告

2014.11.15

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指定管理者制度導入から8年 明石市立図書館 報告

 行程が逆になって申し訳ございませんが、第1日目の視察の報告をいたします。午前11時前、新幹線新神戸駅に着き、「明石焼き」昼食をとった後、図書館に向かいました。
 明石市は面積が49.25?。人口が約29万人。東西に15.6㎞、南北に9.4㎞、瀬戸内海に面して東西に細長いまちを形成しています。市街地は坂が多く、沿岸と中央を東西にJRと私鉄が走っています。鉄道駅が17駅もあるという地域性から人口集積の密度の濃さを感じます。市の東北部は神戸市に接し、市庁舎や図書館本館は市の北端に集積しています。

 そのような明石市にあって、市立図書館の歴史とロケーションは。
 歴史については、昭和22年、市役所(社会課)に市民文庫を設置。その後、公民館に市民文庫を移設し、移動図書館も発展的に運用。昭和49年に現在の県立明石公園内に兵庫県立図書館と同時に隣接して開館、平成11年には明石市西部図書館を開館するなど、利便性の向上が図られてきました。その後、平成15年に地方自治法の一部改正で「指定管理者制度」が行政改革の手法として注目されるようになり、平成18年に図書館に、更新期間を3年サイクルとする指定管理者制度を導入。今日に至っているということでした。明石市が図書館に指定管理者制度を導入した頃は、まだ調査対象も少なく、市の行政改革担当と、市民会館や図書館が協議し、フロントライナーの大阪府大東市などを参考に、募集要項や関係書類などを検討していったとのことでした。

 また、ロケーションとしては、市民の憩いの場である県立明石公園という高台の広大な城址公園内に立地し、明石海峡大橋と淡路島が遠望できます。そして、周辺には天文科学館や歴史資料館などが点在。明石市は「東経135度の子午線のまち」としても有名ですよね。しかし、今後、市立図書館は明石駅東の再開発ビルに移設される予定となっているようです。

 さて、指定管理者制度の導入状況ですが、直営時との比較では、
①人員配置 直営時はフルタイムばかりだったが、繁忙時などの短期配置が可能になった。⇒フルタイム率約38% 司書率86% 
②開館時間 拡充
③開館日  拡充
④サービス 拡充⇒返却場所の拡大、HPに子どもページ設置、障がい者サービスや視聴覚サービスの拡充 など
⑤経費節減 指定管理導入前後で約14.5%=約4千万円の削減で推移している。平成25年度決算では2億3900万円。

という説明でした。

 指定管理者制度導入というと、どうしても経費削減の効果が前面にでてしまいますが、サービスの維持・向上のために、明石市では所管課が行う評価(2~3ヶ月かけて)と合わせて、「外部評価員」による評価を受ける体制を整えています。構成委員は大学の専門の先生や市民代表など5名です。また、評価員の外部化とともに、「選定委員」も外部委員を採用していることは幸手市も見習うべきではと感じます。

 最後の質疑応答で、私は「小・中学校の図書館とのかかわりについて」「図書館システムの入れ替えと指定管理者との関係について」「今後の課題への対処」などを質問。学校図書館との関係では、先生やボランティアが学校図書館をうまく運営できるサポートや図書の団体配送、リサイクル本の授受などで連携しているとのこと。また、図書館システムでは、ほとんどのシステムはハード・ソフトともに5年契約が基本。時代に合わせて更新をするのは市が担当。システムの更新時期に指定管理者となった事業者とともに更新作業を行っているということでした。

 今後の課題への対処についてですが、今、明石市立図書館が抱える課題は、「指定管理者制度導入前の事情を知る職員が少なくなっている」ということでした。明石市では、図書館に指定管理者制度を導入後も市役所内に職員を配置し、指定管理者へのサポート体制を堅持していますが、専門職を配置する難しさに直面されているということなのでしょう。また、現在の館長が県立図書館の司書の経験者であり、職員とも「議論」ができる間柄という「財産」がいずれ近いうちに失わわれることへの危惧や不安もありそうに感じました。
 新開発ビルへの移転が予定され、時代の流れの中で試行錯誤は続いているということですね。

 幸手市でも、本来は「図書館サービス基本計画」や行財政改革との関係性をもっと精査していかなければならないのかもしれません。幸手市にも平成18年に策定された「指定管理者導入の指針」がありますが、行財政改革の考え方をもっと深めながら、議会での質疑に臨みたいと感じています。以上、合同視察の報告でした。長い報告をお読みいただいて有難うございました。

勘違いを訂正いたします

2014.11.15

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昨日のブログより

 昨日のブログで、養父市を第1日目と記載しておりましたが、これは実は2日目の行程でした。視察の報告内容は全く変わるものではありませんが謹んで訂正をさせていただきます。

 今回の視察は、1日目、朝6時20分に幸手駅に集合して東京駅に向かい、新幹線で新神戸に着いたのが11時前。その後、昼食をとって13時30分に明石市立図書館へ。1時間半の視察の後ホテルに向かいました。
 2日目は8時10分にホテルを出て、バスで養父市に着いたのが10時。こちらも1時間半の視察の後、食事をして新神戸駅まで戻り、新幹線で東京駅に着いたのが18時30分という行程でした。
 行政視察は、視察先の風景や地理など、道中を含め、「地域」を実感することにも意味があると私は考えていますが、しかし、こうして行程だけを見ると、目的の行政視察にかける実働時間は2日で約3時間。日常の生活パターンではあり得ないスローライフに、帰路の新幹線で「昨日の朝出発したのがはるか前のことのような妙な感じですね」と話していたところでした。
 時間感覚がマヒしたまま昨日のブログを書き、勘違いをしてしまいました。改めて、行程を記載し、訂正とさせていただきます。なお、昨日のブログも前段の行程の部分を訂正いたしますのでご了承ください。

 =行程=
  第1日目 集合・幸手駅ー東京駅ー新神戸駅ー明石市立図書館
  第2日目 出発ー養父市役所ー新神戸ー東京駅

昨今、議員の視察や研修などが問題になっていますが、幸手市では3つの常任委員会が合同で年に1回、1泊分の交通費を市民の皆さまにご負担いただくかたち(食費は各議員持ち)での明朗会計のもと視察を行っています。近隣の県や市町村でもできるのではないかと思われるかも知れませんが、やはり、全く文化も歴史も違う地域への視察は議員の視野を広げたり、議員が共に課題を共有するという意味で大事な事業かと思っています。ただし、議員が視察研修の成果を幸手市に還元できてこそ、ですが。是非、ご理解をいただければと存じます。
 

合同行政視察(@養父市)報告

2014.11.14

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国家戦略特区 ~養父市の挑戦~ 

 11月11日、12日の2日間をかけて、幸手市議会3常任委員会合同行政視察に行って参りました。2日目の養父市について報告をしたいと思います。

 宿泊先の姫路からバスで養父市に向かいました。特区に関する概要(日経新聞)は先日、7日のブログで取り上げましたが、市役所がある場所は養父市の中でも平坦な地形で、お知らせしたような「棚田」の風景は観ることができませんでした。
 役所に到着すると、養父市議会議長様、産業環境部長様、産業環境農林振興課主幹様、企画総務部企画政策課主幹様、議会事務局様にお出迎えいただき、特区の説明を受けました。

 特区は全国6地区(関東圏、関西圏、新潟市、養父市、福岡市、沖縄県)で進められています。そのうち、新潟市と養父市が農業特区で、新潟市は大規模・東アジアへの輸出の拠点として、養父市は中山間地農業の活性化のモデルとして、平成25年6月に特区提案をし、今年5月に特区指定を受け、9月9日に「区域計画第1号」の認定を受けたということでした。

 「国家戦略特区」は国が規制改革をすすめ、自治体がモデル地域になり、民間事業者が経済活動を実践するという役割分担で進められます。国からの補助金や交付金はなく、特区に係る特例措置の適用として金融支援(ベンチャー企業への貸付けの利子補給)や税制支援(法人税or特例償還)などを活用しながら、規制緩和を主軸に「民間が活動しやすい環境づくり」を支援・推進するのが自治体の役割です。

 養父市の「規制改革の初期メニュー」としては
①農地流動化の促進のために⇒農業委員会と市の事務分担の移行
②6次産業化の促進のために⇒農業生産法人の要件緩和
③6次産業化の促進のために⇒農家レストランの農用地区内設置容認
④資金調達の円滑化のために⇒農業への信用保証制度の適用
⑤地域活性化のために⇒歴史的建築物に関する旅館業法の特例

などがメニュー化され、事業の進捗の中で規制改革が間に合わない事態には更に規制緩和や改革を国に申請していくということになるようです。特区の期間は2年。かなりハードな事業推進ですが、壁にぶつかってもあきらめず、市をあげて取り組んでいくとのことでした。

 養父市が特区を通して目指す「最終形」とは。
やはり定住人口の確保です。養父市が特区に取り組む背景となったのは、過疎化が止まらない人口減少と増々高まる高齢化率、耕作放棄などによる耕地面積の激減、総農家数大幅減などに歯止めをかけ、「地域の新たな生命を生むまち・学びと交流と居住のまち」としての再生を期してのこと。

 現在、民間活力として、全国区で名の知れた企業やベンチャー企業などが「新しい農業の担い手」として参入の意欲を見せていますし、先駆的な事業では地元雇用も生まれているとか。養父市では「農業はジリ貧状態。どこまで伸びるか」との素直な感想を抱きつつも、これからの農業の見通しについて、「農業特区に指定されたことで環境が整いつつある。まだ緒に就いたところで検証は先になるが、この絶好の機会を生かし、多様な担い手が本市で農業を営み、農業・農村の活性化が図られることを将来像として期待している」としています。

 最後に質疑応答の時間がありました。
私は、京都南部の山裾の棚田を耕作している身内がいることから、棚田は身近な原風景です。全国では「中山間地の農業の活性化」で苦しんでいる地域も多く、養父市のモデル事業の成功でそのような自治体を勇気づけてほしいとエールを贈り、3つの質問(棚田の価値の保全・活用の将来展望について、参入企業の事業提案概要、森林資源を活用した地域資源循環型農業について)をさせていただきました。

 養父市は市の84%が森林という地域です。今回の行政視察がそのまま幸手市に当てはまるということはないかも知れませんが、「新しい農業の担い手の育成」や「民間企業からの提案を実現させる方法論や役割分担の考え方」などは、参考にできるものと感じました。
 難しいことは百も承知、覚悟を持って取り組んでいくためにまずは「まちの将来像=ビジョン」をどう描けるか。これが最大の課題であり、スタートであり、この覚悟の無いところに新しい発想は生まれません。
 そんなことを再認識、痛感する行政視察でした。

写真が思うようにアップできず。後日新ためて掲載いたします。

 

埼玉県議団協議会 第4区研究部会研修会@グリーン・コア

2014.10.29

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参議院議員 上野通子氏をお招きして

 昨日は、埼玉県の保守系議員で構成されている市議団協議会の研修会に参加いたしました。

 南は八潮市から西は行田市まで、約60名の市議会議員が集まり、研修の後、懇親を深めました。昨日の講師、上野通子氏は栃木県選出の参議院議員で、教師歴16年、県議会議員2期を経て、平成22年の選挙で現職に当選されたという経歴の持ち主です。
 3人の娘さんの母親として、また、働く母として、また、家族で渡英するなど、華々しい経歴と共に、教育問題では、現在、文部科学大臣政務官として教育再生に取り組んでおられます。

 そのようなお立場から、現在の日本が置かれている教育環境について、様々な事例を紹介しながら講義をいただきました。その中から、義務教育における学校の役割についてのお話しを私の理解のなかでまとめてお伝えします。

 学校の主役は子どもたち。学校が楽しくなければ子どもたちの居場所とは言えない。しかし、今、50%の子どもたちは「仕方なく」学校に行っている。「学校の後、勉強するのは塾だ」と親も思っている。そのような中で、学校の質が下がっている。先生は”質の高い教育をしなければならない”が、それが欠けている。
 中・高校の教師の目標は何か。いかに多くの子どもを大学に行かせるか。だから、子どもの目標も「大学入学」となっている。文科省は大学改革で、大学に経営感覚を持って「欲しい学生を求めてほしい」と言っている。ところが、大学も入試テストを作るのはそういう専門業者にお任せしている。

 英国では大学はプロフェッショナル。入学テストでは発想力やコミュニケーション力、やる気を見る。日本はこの先を考えないとならない。与えられるものだけでなく、新しい発想や他の視点で子どもたちの能力を引き出すのが教師。子どもの夢と将来をつなぐのが教師の役割。
 教育改革は3つの”わ”で進めていきたい。
1つは、グローカルな”輪”。身近なところから地域を学ぶ。⇒生かすにはどうしたらいいか⇒行動に移す。行動に移す時に地域のチカラが必要になる。大人のチカラで子どもができないことを後押しする。
2つは文化の”和”。伝統文化を守って行こう。日本人のアイディンティティを育てていく。
3つはグローバルの”環”。グローバル=英語教育ではない。日本語をしっかり学びながら、英語をどう位置付けていくか。毎日繰り返すことが大事。今、学校で取り入れられている「読書の時間」のように繰り返すことを進める。

 などなど。虐待児への対応や家庭の教育力、”精神”の貧困問題などにも言及されました。質疑応答では学力テストの成績公表についての考え方や、所得による格差をどうしていくのかなどの質問に丁寧に答えてくださいました。

 今、学校教育、日本の教育システムなど、制度疲労が顕著になり、改革が唱えられていますが、結局、子どもを守るのは親であり、地域なのです。コミュニティースクールという新しい学校運営も試みられていますが、地域の本気が子どもたちを育てることは間違いありません。
 国にどんどん具申してほしいと何度もおっしゃっていましたが、私たち政治家も、PTAも親も地域も、それぞれがもっと本質的な子どもを巡る議論ができる環境づくりこそ、大事であると改めて感じました。

 上野氏はどうも私と同年代のような感じでした。堂々と主張を述べられる姿に、見習うべきものを感じました。研修会に参加できてよかったです。以上、簡単なまとめですが、ご報告いたします。

議員の学校

2014.08.24

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公共施設は『消滅』するのか?~自治体の公共施設再編を考える~

 昨日は、会派先進の同士、中村孝子議員といっしょに東京・豊田に研修に行っておりました。研修会には北は岩手から西は岡山まで、約100名の議員が参加。財政・都市計画・人口減少問題の視点から、公共施設の施設運営と財政の課題などについて学びました。

講義1 「公共施設白書から見える施設運営と財政の課題」
     講師:大和田一紘(NPO法人 多摩住民自治研究所理事長)
テーマ
 ―現在ある公共施設をすべて更新しようとすると、財政が破たんする恐れがあり、財政を維持するために更新を先送りすると、住民の安全が脅かされる。老朽化した公共施設を廃止すると、住民が教授しているサービス水準やいまあるコミュニティ形成の低下を招いてしまう。では、どのように打開するか―

内 容
 これまでも公共施設の老朽化や耐震化などへの対策はなされてきましたが、老朽化が大きくクローズアップされたのは、中央自動車道笹子トンネルの天井版崩落事故でした。地方公共事業の財源は国庫支出金(約4割)・都道府県支出金・地方債・一般財源で、ランニングコスト(メンテナンスや維持管理)は自治体の一般財源で行うのが基本とされてきました。工事の約8割は地方自治体が実施します。

 地域インフラの主なものは、橋りょう・学校・上下水道施設・河川管理施設(準用河川・農道など)などです。コンクリートの寿命が約60年。2030年には築後50年を経過する施設が大量に発生します。
 ところが、国交省が行った自治体アンケート調査で、社会資本について中長期的に必要となってくる維持管理費・更新費を推計していない自治体、道路管理に必要な技術職員がいない自治体が少なくないという事実が判明。そこで浮上してきたのが、公共施設の長寿命化、更新・再配置問題です。今、国の主導で各地方自治体に「公共施設白書」の作成が義務付けられ、全国の自治体が慌てて考え始めたというのが実情です。
 

 今後の施設の整備には「情報公開と市民参加が大事。廃止や解体などが水面下で進められるのはNG。そのような手法では住民の活力まで喪失してしまう」と講師は力説。

構造物が、将来、無限に使い続けることができないモノであることは当たり前のこと。国が音頭を取らなければ何も始まらない。これが今の日本の政治・行政の現状であり、限界なのかも知れません。が、一歩前進したと前向きに考えていきましょう。さて、国は今後3年間かけて「公共施設等総合管理計画」の作成を義務付けています。幸手市も昨年度から公共インフラの台帳づくりに取り掛かっていますが、情報として提供される段階には至っていません。
 台帳の基礎データが整った時点で市の現状を市民に知らせ、管理計画は市民と一緒に考える機会を是非作っていただきたい。情報公開と市民参加の必要性は香日向小跡地問題の苦い経験から、私も講師と同感です。 

 

 

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