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さいたま市の義務教育学校建設事業 事業費は幸手市の当初予算並み
先の号でさいたま市の義務教育学校新校舎建設のための入札の不調を取り上げました。昨日、後読みとなっていた新聞を整理していて、実は5月20日付けで既にこの入札不調の第一報が掲載されていたことを発見。他市のことですが、社会の動きが私たちの生活に及ぼす影響がよく分かる事例かと思い、もう一度深追いして皆さんと情報共有をしてみたいと思います。
まず、不調となった“事業"の概要をまとめますと、2月入札当初148億6100万円だった予定価格が、4月再公告時には163億4600万円と1割近く上昇したそうです。公共事業の場合、資材価格や労務単価などに国が示す基準があり、それに準拠しなければなりません。さいたま市の場合も、24年12月時点で算出した適用単価を入れ替えて再入札されました。
国交省によると、25年度の公共工事労務単価(全職種)は前年度比6%増で、建設資材の価格は21年後半から原材料費やエネルギーコストの上昇によって高騰。23年以降は高止まりが続いているという。また、受注者にも深刻な人手不足が。スーパーゼネコンに県内の人材が流れてしまい地域の会社は人手を確保できない。取りたい工事があっても取りにくいという事情があるようです。
また、さいたま市の事業規模での競争入札は国内外の企業を問わず参加できる世界貿易機構(WTO)案件となるそうで、さいたま市も同市誕生以来、WTO案件での入札不調は初めてだということです。一般会計当初の予算規模が190億円という幸手市の場合はこのような大型事業はありませんが、それでも地域の業者さんでも同じような社会の動き、世界の動きの波に洗われていることは違いないはずです。また、義務教育学校が予定通り開校できないかも知れないという事態にさいたま市教育委員会も頭を悩ませていると。
新聞やテレビからは国民の生活にフォーカスした情報が流れて来ますが、国際社会でかつ自由主義経済圏の一員としてある日本にあって、少しでも影響を緩和し、従業員の生活を守るための企業活動に、また、予定していた事業を遂行するためにご苦労されている方がいることを、私は改めて、この記事から認識した次第です。
♥さいたま市は与野市に建設予定だったアリーナ「(仮称)次世代型スポーツ施設」整備事業についても、一般競争入札手続きを中止すると発表したとの記事が6月14日付け埼玉新聞に掲載されていました。入札参加者から辞退届が提出されたためとのこと。この事業も、基本計画案を取りまとめた2023年5月当初の約52億円から約130億円に工費が大幅に膨らむことが明らかにされながらも、事業終了の59年11月までに必要な予算として約130億円の債務負担行為が設定されていたそうですが。スケールが違い過ぎて幸手市と比べるものではありませんが、このような中で、どこの自治体の担当者も極力予定が違わないよう努力しています。議会としてどんなこともしっかりチェックして行くことは前提ながら、このような事態に晒されている点は理解したいと思う次第です。