記事一覧

地域ケアの勉強会に参加して

2015.08.01

アイコン

生活モデルと地域ケアの現在と未来

 今、これまでどの社会も経験したことのない超高齢化社会を迎え、その対応が模索されています。幸手市では北葛北部医師会に委託をし、幸手市版「地域包括ケアシステム」の構築に向け事業が進められています。
その一環として開催された
 『平成27年在宅医療推進事業』
保険・医療・介護福祉従事者のための、
     暮らしを支える医療を考える懇話会
  ~誰もが自分らしい暮らしをずっと続けられる地域へ~

という勉強会が昨夜開催され参加してきました。
 開始時間は6時30分。場所は診療が終った後の東埼玉総合病院のフロアー。勉強会には、多職種連携でケアシステム構築を目指す医療・介護関係者、行政職員、市民、議員など100名ほどが集い、猪飼周平一橋大学大学院教授(社会学研究科)の講義を聞きました。

 お話の中で、私が理解したのは、
①地域ケアでは、これまで実践されてきた『医学モデル』、『社会保障モデル』に変わって『生活モデル』優位になって行く歴史的、世界的潮流がある。
②今後の『地域包括ケアシステム』は、『医学モデル(病気治療型)』だけでなく、『社会保障モデル(リスクを”集団”として対象にして対処する)』だけでもなく、”個人”への支援によって対象者の生活の”QOL(質)”を高めるケアを進める『生活モデル』への転換期にある。
③『生活モデル』を構築していくためには、バラバラの支援モデルを統合していく必要がある。
④生活モデルがケアシステムとなるためには、対象者(当事者)の多様なニーズを充足し、当事者にとってなにがよいかを一緒に考え一緒に悩む人がいて、当事者の状況を改善する技術がある社会=寄り添い型のケアを推進する。
⑤そのための”資源”を地域社会に見出すことが要請されている、
ということです。要するに、地域資源を発掘して繋いでいきましょうと。

 私は去る6月に父を亡くしました。父は以前より入退院を繰り返していましたが、終末の3か月を除いては「在宅」で過ごしたと言える状況でありました。父の持っていた”生きるための資源=生活の質を維持する要因・条件”を振り返ってみると、老老ながら父を支えることができた母、亡くなる1年前まで父が車を運転できたこと、地域の国保病院の適切(当事者として納得性あるという意味で)な医療行為と関係者の連携、入院費が工面できたことが大きなウェイトを占めていたのかなと。父を支える母を支えたのは入院した病院が自宅から徒歩圏にあったこと、介護保険による父の入浴介護、近隣の親戚、近所の方であり、遠距離でほんの時々しか帰省もできない兄と私の、家族それぞれの、それでも精一杯の関わりであったのではと考えます。
日々の生活とは二人で全うするものと思っていた両親が使った地域資源は極一部だったのかなと感じますが、「時々に、医療機関が適切な処置を提示し実行してくれた。我々も当事者として最善の策を選択して終えた」と思える中で父を見送れたことが残された家族の心の救いとなっていることは間違いありません。父も辛かったと思います。でも、最期まで本当に頑張ってくれました。

 昨日の勉強会は医療関係者が主催でしたので「多様なニーズを充足する資源」という表現がなされていましたが、われわれ患者若しくは当事者にとって「ニーズ」は「個々人が尊厳を持って生きるための条件」と同義です。この「条件」が多様になっている社会において「多様なニーズを充足する」、しかもシステム化するというのは必要であり、そして、かなり難しい作業であることは確かです。
 実は「生活モデル」というのは有史からある普遍的なもので、いわゆる「互助」ということです。「社会保障モデル(公衆衛生モデル)」とは第2次大戦後に生まれた新しい概念で、戦後の福祉国家・社会保障は、生活保護や社会保障、雇用などを駆使して、富を社会に行きわたらせることで生活を支援するモデルだったとのお話しでありました。しかし、今、共通の課題解決策から、生活の多様性と共に少数の個人的な課題解決策へと変化し、行き着いたのが「生活支援モデル」=互助のシステム化であるということ。

 さて、多くの皆さまがご自分の”終末”を人生設計の中にビルド・インして毎日の生活を送られていることと思います。自分の歩んできた歴史の最終章を如何に終えるか。先日、相続セミナーに参加したのも、やはり自分の最終章に如何に幕を引くかは、「生前の生き方」を左右することだと思ったからです。
 個人がそれぞれに心豊かに、安心して「人生」を終えるために個人が努力することは第一義として、社会としてそれをどうサポートしていくのか。地域包括ケアにおいては、やはり、社会保障の役割は大事です。国家や市町村にできることは、財源と共に主権者にとって必要な施策をできる限り公平・公正に公助、共助として「システム化」していくことです。
多様な主権者が"使える仕組み"の構築。どこまで行っても「完成形」はないのかも知れません。完成したかと思うときには必ず揺り戻しもある。常に変化する社会の「最適解」を模索する”途上”でしかないのが「システム構築」の宿命としても、公助、共助の仕組みづくりはやはり政治が決断しなければならない範疇と考えます。

 政治とは自治の総体です。私も政治に携わる一員として、これまで以上に市民の皆様にとって必要な仕組みが充実したまちづくりを目指して、これからも皆さまのご意見を聞き、様々な勉強を続けていかなければとの思いを強くした勉強会でありました。

勉強会が終ったのは午後9時30分を回っていました。24時間シフトの激務の中、参加されたお医者様や看護師さん、薬剤師さんも多数おられたようです。私たち幸手市民の地域医療の発展のために費やしていただく多大なご努力に敬意と感謝を申し上げます。

 

第2回地域の勉強会のお知らせ

2015.08.01

アイコン

香日向の”水”事情を知ろう②

 先月より「地域を知ろう」という勉強会を始めました。地域の有志がテーマを設定して開催する勉強会です。第1回目は去る7月4日、「香日向の”水”事情を知ろう!」をテーマに開催。香日向周辺の雨水、下水、用悪水(農水路)について学びました。

 第2回勉強会を下記の通り開催いたします。今回は、前回の勉強をもとに、香日向の現地を回ります。この勉強会は、香日向地区や幸手市という私たちが暮らす地域について理解を深めることを趣旨として開催しています。1回目に出ていない方でも関心のある方はどなたでもお気軽にご参加ください。

                記

      ~地域を知ろう・香日向編~
第2回勉強会
テーマ:『香日向の””事情を知ろう!②』
 日  時 平成27年8月4日(火) 午前9:30~
 集合場所 幸手市コミュニティセンター前(自転車で集まりください)
 内  容 香日向地区の下を走る「水路」の現地を回ります

※尚、暑い盛りにつき水分補給、体調管理は各自で。事故等についても各自でお気をつけくださいますようお願いいたします