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一晩で「1億円」のNPOも…!?

2015.08.22

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日本の女性の寄付活動が途上国支援の大きな力になり始めた…

今日の日経新聞夕刊の一面、国際的な活動をするNPO法人についての記事から。

 「日本の女性の寄付活動が途上国支援の大きな力になり始めた。現地に学校を建てたり、本を届けたりする目的でイベントを企画。一晩で億円単位を集める組織もある。ー 日本ファンドレイジング協会によると、国内の寄附総額は2012年で6931億円。東日本大震災後、機運は高まっている。-」

と。紹介されていたこの団体をインターネットで調べてみました。この団体は内閣府から認可されたNPO法人です。
 団体のビジョンは「質の高い教育によってすべての子どもたちが自己の能力を活かし、地域社会、そして社会に貢献することができるような世界の創造を目指します」という崇高なもので、そして、何より素晴らしいのは、活動のプログラムのモニタリングと評価、リサーチ活動を行うための人材、システム、検証作業などに十分な投資を行うなど、つねにプログラムの改善が図られるようなハイレベルな民間企業と同じ仕組みを構築していることです。
 もう少し詳しく調べてみると、この団体の創設者は元マイクロソフト社の重役で、職を辞してこの活動を立ち上げたとあります。さらに、日本でも、2010年に内閣府からNPO法人として正式に認可され、活動を開始。日本のスタッフはリクルート社や世界規模の人事コンサルタント会社の職員という元肩書を持っています。なるほど、って感じです。

 今日はこの記事に刺激を受けて、といっても活動そのものではなく、多額の寄付に対する日本の税制「寄附金控除」ということに注目してみたいと思います。

 別のある認定NPO法人のHPより。「認定NPO法人」とは、国税庁官から認可を受けた法人ということのようです。
「認定NPO法人であることによって、皆さまからいただくご寄附は、申告によって、所得税、法人税、一部の自治体の個人住民税、相続税について税制上の優遇措置を受けることができます。2011年6月30日、新しい寄附税制が盛り込まれた税制改正の法令が交付・施行されました。これにより、認定NPO法人への寄付に対する税制優遇が拡大しました」とのこと。
 さらに、
「個人のご寄附の場合、
 ①(寄付金額ー2000円)×40%の額が所得税から控除されます。
  例えば、1万円を寄付した場合、(10000円ー2000)
      ×40%=3200円が所得税から控除され還付されます。 
 ②東京都や神奈川県では住民税からもさらに控除されます」と。

 法人にも当然税制措置はあり、このような活動に協賛する会社も増えているか。

 さて、このような動きが自治体財政に与える影響はないのかというのが、今日の私の本題です。あ、そうでした。8月4日の「タコが足を食らうの図?」で、ふるさと納税を取り上げた時に書きましたが、日本の場合、国の仕送りである地方交付金を受け取る自治体は、「市民が1万円寄付すると、交付金の支給額が7500円増えることになる」(片山元総務大臣)ということでしたよね。地方交付税法は、税収が減ると交付金で国が補てんする仕組みを設けているからです。それが当てはまるとしたら、地方自治体は影響なし?

 「良い活動なのだからいいじゃないか」という方もあられるでしょう。確かに。貴重な活動であり、日本も海外の篤志家に助けられた経験はたくさんあります。しかし、これから人口減少や高齢化で縮みゆく日本の財政を考えると、国の交付金なしにやっていけない弱小自治体にあって、国の税収が減ることはサービスの低下を意味します。特に、交付金が予定通り配分されないことが超大問題となっている幸手市の現状を前にして、私としては少々複雑な気持ちを禁じ得ません…。

私の感覚が古いのか。自分の考え方が”ちっちゃい”のか…。そんな自戒も込め、この国際的な潮流を、あえて「新しい時代」の分類で書いてみました。皆さまはいかがお考えでしょう。

追伸:このブログを書いた後、改めて1つめの団体のHPを見てみると、この団体の場合は個人からの寄付には税制上の控除はないとの記載あり。