2015.08.04

過熱するふるさと納税 お得すぎる寄附に
7月29日の日経新聞。1面の税金に関する連載に「気になる光景・寄附なのにもうかる」」として過熱するふるさと納税があげられていました。
みなさんはふるさの納税をされたことはありますか。生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域にささやかながら寄附をすることで、その地域の活性化や地域創生のチカラになれる制度として、08年から取り入れられた制度です。
この制度はふるさと納税(寄附)額のうち2000円を超える部分について一定の上限まで所得税・個人住民税から全額が控除されることに加えて、各自治体からの返礼品合戦も相まって、贅沢な特産品などを手に入れることができることも魅力の1つとして人気を集めています。制度開始から6年間のふるさと納税による寄付金額は合計1126億円。わが幸手市も返礼品の幸手産米が人気で毎年多くの寄付金をいただいています。
しかし、この制度。地方の過熱気味な返礼品合戦はまだしも、ある一定の金額を納税すると逆に財布が豊かになる奇妙さや、本来なら所得税や個人住民税を納めるべき自治体に寄付することで、逆に市財政も潤うという側面が指摘され始めています。
”異例の”取り組みを始めた自治体の例があげられています。
1万円の寄付に地域で使える商品券3000円分を返礼するというものですが、その仕組みとは、
1万円の寄付に伴う市税の減少分は3840円。
寄付収入の1万円から市税の減少分と3000円相当の返礼代、
1000円の郵送代をひくと、2160円の黒字。
加えて、国の仕送りである地方交付金を受け取る自治体の場合、黒字はさらに膨らみ、「市民が1万円寄付すると、交付金の支給額が7500円増えることになる」(片山元総務大臣)。地方交付税法は、税収が減ると交付金で国が補てんする仕組みを設けているからです。
昨年末には、市に寄付するよう職員に指示をする市長も現れたとか。一種の「囲い込み」策ですよね。寄付に応じて減る税収分は、国の所得税、県民税と市税で分担することになります。国が補てんする交付金の原資は国民が納めた税金です。まさに「たこが足を食らうような話」だと日経。
ふるさと納税によって、各自治体と納税者の新たな関係が生まれ、地域の活性化を促したのも事実です。一方で、ふるさと納税の理念を外れた「お得すぎる寄附」は年収が高い人ほど納税額が多く、100万円以上の寄付ができる年収3000万円以上の人はふるさと納税を利用すれば「食費タダ」になる可能性もあるのだとか。
一般庶民にはささやかな税制ですが、ある大学教授は「ふるさと納税がお得感を求める制度になってしまっている以上、段階的な見直しは避けられない」と指摘しています。
ふるさと納税が都市と地方の税の偏在を是正するという側面をもっていることは確かですし、前述の自治体の財政運営を「異例」というのか、「商魂逞しい」ととらえるのかも微妙なところです。しかも、異例な取り組みであっても「違法」ではありません。しかし、私は、自治体の返礼品合戦はまだしも、恣意的に住民から寄付金を集める自治体の行為は自粛されるべきではないかと思います。地方にかぎらず、大都市や本来なら交付金の不交付団体にまでこの手法が蔓延したら、交付金の制度にも影響がでるのではないかと感じます。制度に改善の余地があり、また、新聞で挙げられた事例を見る限り、私は見直していく必要はあると感じました。
さて、みなさんはどうお感じでしょう。