記事一覧

見切り発車

2015.07.08

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東京五輪、そして幸手駅

昨日、東京五輪・パラリンピックのメーン会場である国立競技場の整備費が、基本計画時の1625億円から大きく膨れ上がった2520億円で、日本スポーツ振興センター(JSC)の有識者会議で了承されたという記事が産経新聞に載っています。

国立競技場の整備は建築設計のコンペから、計画の実現性、財源問題などが取り沙汰されてきましたが、今回の了承に対して、「収支計画も見通し甘く、非常にずさんで無責任な計画だ」との専門家や、財源や建設の実現性への懸念や建築後の収支計画もいいかげんで、多額の税負担が将来必要になるのは明らかのに、質問も出ず、すんなりと実施計画を了承した有識者会議に対して「全く機能していない」とする評論家の意見も根強いようです。

JSC幹部は「われわれは民間事業者とは違う」と黒字ありきではないとの立場を強調しているとか。確かに、公共には収支では計れない価値の創造や維持という役割があることは認めます。しかし、”最小のコストで最大の効果”をあげようという運営主体の努力は必要ですよね。

さて、幸手市に関しては、今、幸手駅の建設が同じような状況にあると言えます。もともと、区画整理で安心安全で快適な地域を再構築することが目的であった幸手駅西口整備事業に「駅舎建設が優先」として割り込み、財源も固まらないなかで3月議会で”見切り発車”。今年度になって財源として見積もっていた国費が予定通り入らないことが判明。
幸手市も、今後の展開では、9月補正予算で実施計画の見直し、市費の更なる投入、コスト削減など、市民の皆さまに納得していただける最適解を見出して行かなければなりません。

幸手市長選

2015.06.26

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元助役木村純夫氏が立候補を表明

 これも埼玉新聞2面より。本日の書き込み第3弾です。幸手市にとって、大変大事な記事でありますので取り上げました(このHPトップページのyahoo Newsにもリンクされています)。

 任期満了に伴う幸手市長選(10月18日告示、25日投開票)で、元助役で、栗橋済生会病院の元事務部長の木村純夫氏が25日、無所属での立候補の記者会見を行ったという記事です。

 木村氏は、「危機感なき現市政に幸手市の将来を委ねる訳にはいかない」とし、市の財政状況を考慮した幸手駅の橋上駅舎建設時期の見直しや、消滅可能性都市からの脱却などを公約とされているとか。海外勤務や関連会社の役員などを歴任されており、まさに「民間感覚」への期待が高まります。

 幸手市は、最近お伝えしているような子育てや介護などの問題の他にも、さまざまな政治的判断が必要な課題が山積しています。渡辺市長もこの6月議会一般質問で立候補の意思を問われ、意志あることを表明していますが、両者の政策や主張を聞く機会がありましたなら、私もしっかりとその主張を吟味して参りたいと思っています。これから投票日の10月25日まで、皆さまには是非、ご関心をお寄せくださいますようお願いいたします。

少子化に知恵 他市のケース

2015.06.16

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育休後 元の保育園へ所沢市が保障制度

 本日の読売新聞より。本日の読売新聞埼玉版に上記のような見出しの記事が載っていました。

 記事によると、所沢市は、保護者が下の子の出産に伴う育児休暇に入った場合、保育園に通う上の子を退園させる代わりに育休明けに、定員枠を超えて元の保育園に戻れるようにする方針を固めた。制度は、待機児童の解消を進める一方、慣れ親しんだ保育園に戻れないことを心配して、母親が出産をあきらめないようサポートするのが目的。
 具体的には、保護者が育児休暇に入った時点で、保育園に通う0~2歳児を退園させるが、育休明けの入園先行の基準点を上の子、下の子ともに入園先行基準点を100点加算する、というもの。

 幸手市にはこのような制度はあるのか。早速、担当課に確認をしたところ、幸手市でも同様の仕組みを「今後検討していくことになっている」とのことでした。現在、幸手市では上の子が3歳児クラス以上の場合は、子どもたちの人間関係が途切れないよう継続して通所させることができますが、3歳未満の場合は親子の絆を構築する時期であることを鑑み、退所となっており、産休明けの復帰時に、子どもが同じ保育所に戻れると保証する仕組みはありません。
 2人目の出産を考える保護者の皆さまには朗報と思いますが、検討にはもう少し期間がかかりそうとのこと。
 
 私も是非、検討してほしいと考えます。ただ、この制度は保育所に上の子を預けて産休に入る保護者の安心につながる反面、認可外保育所などに子どもを預けて認可保育所の空きを待つ保護者が不利にならないよう、制度設計することが必要です。認可保育所と比べ、認可外保育所は保育料が高く、公費の補助も少ないため、都内を始め、待機児童が発生している自治体では、認可外保育所に預けながら認可保育所の空きを待つ方が多くいます。

 幸手市では今のところ、そのような選択をされる方はほぼおられませんが、今後のことを想定し、その方たちの加点(=優先度)との兼ね合いなど、担当課にはしっかりとした制度設計をお願いしたいと考えます。幅広い検討がなされるよう、私も注視して参ります。

 尚、経費については、所沢市の場合、「育児休業復帰特別預かり事業」として児童4人分の関連予算237万円が、今議会の補正予算で提案されるようです。良いことがすべてできるわけではありませんし、幸手市の場合、前々回のブログでお知らせしましたように、今後、5年間は西口整備での3つのパッケージ事業(自由通路・駅舎・区画整理)推進で、財政が”火の車”となり兼ねない状況があります。

予算編成は市長の裁量です。が、市民サービスの向上に向けて、市民の皆さまに収めていただく貴重な税金の使われ方をしっかりと吟味していくのは市議会議員の一番大切な仕事と考えています。

 

大阪都構想 潰える

2015.05.18

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大阪住民投票は反対多数

 昨日の「大阪都構想」の賛否を問う住民投票。市民の反対多数で5年間の議論が終結し、橋下市長は任期後の「政界引退」を表明して幕が下りました。

 橋下市長は、今回の住民投票の結果について、「私が提案した大阪都構想は市民に受け入れられなかったという事で、間違っていたということになるのだろう。都構想について、しっかり説明できていなかった僕自身の説明不足だと思う」と述べたことが報道されています。

 大阪都構想とは一体どのようなものなのか。インターネットの解説から掻い摘んでご説明すると、「人口266万人という巨大な都市である大阪市の持つ権限は非常に強く、大阪府と同等程度とされている。そのため、大阪は、大阪府と大阪市の二極体制となっていて、『二重行政の解消』により、無駄な支出を解消し、財政赤字を黒字化させる」ということになるでしょうか。
 そのために、大阪市の現在の23区を5つの特別区に分けて、それぞれ区長を選出することで、より地域住民の声が政治に反映される、などのメリットが主張されていたようです。ただ、財政効果については、賛成派の見積もり通りの効果がないこと、移行には莫大なお金がかかるなどメリットのわかりづらさなどが反対派から指摘されていたようです。

 デメリットについては、反対派のわかりやすい意見として、大阪市民の税金が市外に流出し、大阪市「外」に使われる、という点が大きく主張されていたもよう。

 では、大阪市とはどんな位置づけのまちなのか。全国には政令指定都市と呼ばれる都市が20あり、大阪市は横浜市についで、全国で2番目に人口の多いまちです。ちなみに、人口100万人以上の市は、
横浜市 約371万人 大阪市 約269万人 名古屋市 約228万人
札幌市 約194万人 神戸市 約154万人 福岡市  約152万人
京都市 約145万人 川崎市 約146万人 さいたま市約125万人
広島市 約119万人 仙台市 約107万人 となっています。

 本来、大阪市と同じ「政令指定都市」という条件の20の都市は大阪市と同じ問題を抱えていてもおかしくはないわけです。しかし、大阪市より人口規模の大きな横浜市が動かない中で、「大阪都構想」は政令市の普遍的な課題となり得ず。全国知事会や全国市長会などにも追従の動きはなし。わが埼玉県の上田知事も「埼玉県はうまくやっている」的コメントを出していたように、他の道府県や政令市にはちょっと”他人事”の「大阪都構想」が日本の政治のしくみを動かすには機は熟していなかったという面はあったのかもしれません。また、「維新の党」の看板首長のカリスマ性に頼ることへの躊躇なども賛成票を投じる抑止となったのではないかと私は推測しています。

 いずれにせよ、今、東京の一極集中が問題となっていますが、日本の地方自治のあり方は、大阪都構想に止まらず、日本の中央を含め、深い議論と新たな仕組みづくりが求められているように感じます。

 皆さまはどのようにお考えでしょうか。
 

 

歳出抑制の影響

2015.05.12

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財務省が歳出抑制案

 今日の読売新聞より

 本日の読売朝刊に、財務省が公共分野の財政再建案を公表し、すでに発表済みの社会保障分野を含め、これから議論が行われる旨の記事が載っていました。実はこれは自治体にとってとても重要な発表であると言えるものです。

 例えば、教育分野では、公立小中学校などの教職員の削減、地方財政分野では、行政サービス効率化に向け、軽症患者を対象とした救急車の一部有料化などがあげられているようです。私が注目するのは、地方交付税に上乗せされてきた別枠加算などの廃止です。

 「別枠加算」とは、リーマン・ショック後の景気対策として国が毎年度、地方交付税に上乗せして支出しているもので、15年度予算では、前年度の6100億円から大きく減額され、2300億円が予算計上されています。それを来年度はゼロにするということです。景気対策に一定の効果を得たというのが財政制度審議会の見解です。

 景気の上昇も実感できず、かつ、補助金獲得で財政運営を行ってきた幸手市にとって厳しい時代が到来します。来年度を待たず、このような国の緊縮財政が幸手市の予算を直撃するのではないかと懸念を感じているのが、この3月、国庫補助金が決定しない前に事業費を予算化した「橋上駅舎整備」です。市からは満額での補助を確約できるかのごとく、議会に説明されていましたが、本当に補助率満額での国庫支出は期待できるのか。

 国庫補助が満額出なかった場合は、市の単独費用として事業費を捻出しなければなりません。不確実な国庫支出を含めた事業費の設定、事業の予算化に、私は反対しましたが、このような国の動向はもうすでに見えていたはず。

 国がくしゃみをしたら地方は風邪をひく。これからのまちづくりは、風邪をひきにくい体質改善とともに、正に市長の先見性や感度が試される時代に突入しています。この懸念については6月議会で取り上げていければと考えています。 

  

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