![]()
郊外へ、郊外へと草木はなびかない時代
今日の日経新聞。都市圏で職住近接の動きが進んでいる。定期券にそれが反映されているとの記事が載っていました。
【定期券 職住近接移す 郊外の中高年、通勤「卒業」】
東京や大阪など都市部を地盤とする大手私鉄16社の1人当たり定期券利用額は過去10年で全社が下落。平均の単価は4%減となった。距離に連動する定期券単価の下落は、都心から郊外へと人口が異動した地価高騰時の「ドーナツ化現象」が、過去のものとなったことを映している。
都市圏の私鉄で単価の下落率が大きい鉄道会社
①南海電気鉄道 ▲5.3%
②東武鉄道 ▲5.2%
③近畿日本鉄道 ▲4.8%
④西日本鉄道 ▲4.7%
⑤京王電鉄 ▲3.9%
背景として、住宅需要の都心回帰に加え、バブル期に郊外に居を構えた中高年が定年を迎え、通勤事情が変わったことがありそうだと。
正しく、幸手市も昭和の高度経済成長期~バブル期のドーナツ化現象の恩恵を受けたまちの1つです。しかし、他より早めに高齢化が進む幸手市では、東京圏ゆえの課題として若者が都心に出ていく傾向が強い。さらに、基幹産業が農業と商業というのは今の社会情勢の中で雇用を生みにくい。そのこともあり、幸手市では圏央道幸手IC周辺に産業団地を誘致し、雇用機会と税収の確保を図ったわけです。
その産業団地の誘致企業が操業を始める中、地元雇用の拡大が何よりの行政テーマと言えます。しかし、産業団地での雇用機会の拡大が幸手駅の定期券利用者を増やす起爆剤となるか。また、少子化が進む幸手市では通学者も減る可能性が高い。
東武鉄道のポータルサイトの日光線各駅乗降人員数をみると、杉戸高野台駅12,062人、幸手駅14,082人、南栗橋駅8,931人、栗橋駅11,118人。以北の駅は栃木駅を除いて1万人を上回る駅はありません。
東洋経済ONLINE2016.6.20付けで『路線別「通勤定期&通学定期比率」ランキング』という記事が掲載されていますが、それをみると、1位は東武鉄道・越生線の77.4%、2位は同小泉線の75.13%、3位は同佐野線の72.7%で、1~3位を東武鉄道が独占。ちなみに東武日光線は9位で定期券比率は66.0%。うち通勤定期比率が35.8%。通学定期券比率が30.2%となっています。
日光線では稼ぎ頭の幸手駅ですが、今後、通勤・通学者の減少傾向はますます高くなることが予測されます。
28億4500万円を投入して駅舎を新設し、「駅はまちの活性化のエンジン」と豪語してきた現市長には、本気で活性化に取り組んでいただきたい。私も駅の機能として東西が自由通路で結ばれる利便性向上に反対ではありませんが、東武鉄道と共存共栄を図って町を活性化してこそ、駅にかけたお金が有効であったと言える。まさに行政の真価が問われるわけです。
さて、「東京一極集中」が止まらず、少子高齢化が進む幸手市は「ドーナツ化現象」の次をどう見据えるか。私は昨年、一昨年と、一般質問等を通じて幸手市のまちづくりに投げかけをしてきたつもりです。今年度は市のまちづくりの最上位計画である総合振興計画が見直され、「第6次総合振興計画基本構想・前期基本計画」が策定されます。今後10年間のまちづくりを規定する計画です。どの段階で議会に提示されるのかはまだわかりませんが、それまでに、市の置かれている環境を十分調査しながら、できるだけの提言はしていきたいと思っています。
幸手市政は市長や議会が決めるのではなく、住民の方や市民の方の思いを形にする、いわば、「自治」そのものです。「こんなまちに住みたい」そんなご意見を是非、お聞かせください。前のブログでも書きましたが、議員は住民の方々の声を背景に、十人十色の問題意識や課題を整理し、できる限り多くの方の納得とご理解がいただける市政が執行されるよう計らうのが仕事です。
是非、よろしくお願いいたします。