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広域行政の難しさ

2019.01.15

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久喜市に協議を申し入れたごみ処理広域化の今後

13日の埼玉新聞。幸手市が昨年7月に杉戸町と一緒に協議を申し入れたごみ処理広域連携検討依頼問題について、計画変更となる久喜市の地元住民の方や市議会から反発の声があがっているとする記事が載っていました。一面トップの半面という大きな扱いで。「一体何が起きているのか」とのご心配もあろうかと思いますので、私の把握している限りではありますが、少し問題点をまとめてご説明したいと思います。

まず。国は現在、様々な分野において広域行政を奨励しています。昭和、平成と自治体再編で合併が奨励されてきましたが、今は「単独以上 合併未満」の広域化がコストカットやスケールメリットを得る「切り札」となっているのです。特に、生活インフラであるごみ処理においては、一定程度の規模の焼却施設を広域で管理することが望ましいとされています。

そのような時代背景を前提として。久喜市は前田中市長時代に、現在、宮代町と一緒に運営している衛生組合を解消し、新たに久喜市を主体に宮代町とも委託契約を結んでごみ処理施設の老朽化に対応。新炉建設について、住民の皆さんの合意を形成しながら基本構想を策定するところまで来ていました。

そこに突然、降って湧いたのが、今回の幸手・杉戸からの計画に参加を求める協議申し入れです。実は、この件では久喜、宮代だけでなく、少なくとも幸手市の住民・市議会にとっても"寝耳に水"の首長判断が先行。行政が後を追う状況となっています。

確かに、どのまちでもごみ処理は衛生的な生活を守る生活インフラの最重要施策であり、焼却炉の老朽化も共に抱える重要課題です。いち早く動いた久喜市に「待った」をかける今回の協議開始。その発端を探ると、このような重大な話しが、所管の担当者を伴わない消防組合の管理者会議で首長が行き合った折りになされたように聞き及びます。

幸手市議会にはこのような協議申し入れ事実がメール配信で報告されたことに不信の声が上がっています。当初、担当部署も「まだ、協議がはじまた訳ではなく、協議への参加の可否を問うているだけ」と説明していましたが、その認識にも疑問が残ります。広域化への参加を求めた側が、相手方の進捗を遅らせて一転翻って離脱するということがそう簡単に許されるとな?

記事によると、建設費について、久喜市は12月の広報でごみ処理広域化のメリットとデメリットを紹介。幸手・杉戸を加えた場合、久喜市が負担する事業費は20年間で約40億円削減されると説明されているようです。逆に言うと、幸手市は20年間でその半分の20億円を負担することになるのです。果たして、幸手市の厳しい財政状況がそれを許すのか。

さらに、幸手市には久喜市に「広域的に」と協議を申し込んでいる案件がもう一つあります。「総合治水対策」です。久喜市を起点として倉松川まで幸手市内を流れる大中落しへの豪雨時の雨水流入を抑制する調整池の整備を久喜市に呼びかけて、一緒に整備することを持ちかけています。今、氾濫シュミレーションを取りまとめているところですが、これが出来ると、実施計画に落とし込んでいくことになります。これも大型事業であり、財源の捻出が課題です。

広域行政は始まったら後に引けない。勿論、条件闘争はあります。唯々諾々と従うことはしない。どうしても折り合わない時は当然離脱も一つの選択肢ではありますが、まず、覚悟ももってしっかり計画を立てて臨むべきところです。が、幸手市はこんな巨額な事業を2つも一度に協議して、財源の目処は立っているのか?
今年、駅舎整備が完了し、その負担金として東武鉄道に20億円を支払います。この結果、来年度、再来年度の財政は厳しさを増す。このことは市の職員も認識しているところですが、議会にも諮られることなく、また、市長からしっかりとした説明もなくこのような事業が進められているという幸手市の市政運営。
残念ながら、市民の税金の使い方に警戒心を持たざるをえない。

やらねばならないことはやらねばならない。これは当然ですが、どうやるかが問われます。私は12月議会活動報告書に「広域連携は甘くない」と書きました。また、会派先進は駅舎整備に目処が立った時点で、新たな「重点ブロジェクト事業」の設定と財政シュミレーションを求めてきましたが、それもまだ示されず。

新聞では、久喜市ごみ処理施設建設推進課は「今の状況で広域化を判断することはできない。丁寧に説明し、まずは地元の理解を得ることが必要」と話していると。ここが幸手市の現市政と違うところですね。幸手市では市長が「やる」と言ったことに住民の反発があっても納得を得るまで真摯に説明をするということがない。過去を振り返ると、香日向小跡地問題、駅舎問題、幼稚園廃園問題、ことごとくそうでした。

とにかく、今回の件、実は幸手市は傍観者ではなく、協議を申し入れた当事者です。久喜市では幸手・杉戸の参入で無駄になる経費は負担を求めるべきだとの意見もあるようです。久喜市議会議員さんの中には「幸手のせいで一年遅れる」ということを強力にアピールする方もあり。そのような事態であることを肝に銘じ、幸手市でも厳しい財政の使い方を十分議論し、市民の皆さまにも説明をしておくことが必要です。
やらなばならないという一点だけで、無計画に協議を申し入れてお金が無い、では対外的に済まないし、お金を使ったので他の事業ができません。市民にもさらに負担を求めます、では市民に対して済まないでしょう。

あれもやります、これもやります。活性化、安心安全などなど、行政を彩る甘味な言葉にご用心。先立つモノ=財源をキチンと詰めた議論をしていかないと、ただでさえ、幸手市は今年度20億円の駅舎整備負担金を東武鉄道に支払うと本当に厳しい財政運営を迫られる。庁舎の建て替え問題、道路や橋の老朽化対策、治水対策、区画整理事業、都市計画道路や下水道接続の延伸などなど、大型事業の推進は待ったなし。さらに、今後の高齢者対策や少子化対策にも財源は必要です。この現実を無視することなく、あれもこれも手を突っ込む前に、市長は現市政が描く将来像をきちんと示す責任がある。と私は考えますし、今後もその説明を求めていきたいと思っています。

不透明感や姿のない不安など、複雑さを増す方程式に向き合い、解を求めることが幸手市政の責任です。

新春早々 バッドニュース

2019.01.09

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市発注の業務委託で法令違反 「個人市県民税データ入力業務等の受託者における契約及び法令違反について」(市の報告)

昨日の午後、突然市の職員の訪問を受けました。そして、上記を表題とする報告を受けました。要するに、市が発注しているデータ入力業務等の受託者が市の許諾を受けず業務を再委託、再々委託していたことが同社の内部調査で判明。実害はないがこれは法律に違反する行為であり、ことは重大として、午後4時にプレス発表を予定しており、その前に議員宅を行脚して説明しているという。12月に受託者から報告があり、これまで内部検討をしていて議員への報告が今になってしまったと。まずまず、これまでもいろいろな不適正な事務処理問題がありましたが、こんな丁寧な対応は始めてのこと。一体何が問題なのか。少し検証をしてみたいと思います。

まず、職員が持参した報告書から、抜粋して転記します。
1.概要
市がAGS株式会社と委託契約を交わした平成28年度及び平成29年年度のデータ入力、市県民税特別徴収税額決定通知書の封入処理において、市の許諾無く再委託(再々委託を含む)していたことが判明。受託者への調査等によると再委託(再々委託含む)先から外部への特定個人情報を含む個人情報の流出は発生していない。
2.原因
マイナンバー制度及び関係事務が平成27年度から開始運用されており、再委託の許諾授受の徹底が重要視されているところ、受託者のAGS株式会社においてその認識が希薄であったこと。また、AGS株式会社社内の管理者の交代に際し、厳格な事務処理を継続できる体制が維持できていなかったことによるもの。
幸手市としてはAGS株式会社から再委託の許諾済申請がなかったため、業務の再委託があるということを把握できていなかった。
3.これまでに行った対応
AGS株式会社(再委託業者含む)に外部への特定個人情報を含む個人情報の流出がなかったことを確認するとともに、管理監督の強化を実施した。
4.今後の対応
今回の状況を厳しく受け止め、従来以上にAGS株式会社(再委託業者含む)に対し特定個人情報を含む個人情報の管理を徹底させ再発防止に努める。

というもの。
では、問題のポイントは何か。明らかな法令違反。これは確かに問題です。受託者の認識の希薄さ、社内厳格な事務処理を継続できる体制が維持できなかったというのも見逃すことはできません。ここの反省無くして次の契約を継続することはできない。我々議員にとっても、それくらい大きなポイントです。特に今回は契約条件が明らかに履行されなかったという事実が、実害がなかったというだけで、また、受託者から自発的な報告があったということで帳消しとするのか、なるのか。市民の情報、すなわち財産を守るという視点から次期契約を見据えれば、そこもポイントです。

そこで、この件が入札等にどんな影響を与えるのか。どんなペナルティが科されるのか聞いてみました。「それはこれから庁内の入札指名委員会などで検討される。さらにAGSと同様の委託をしている県内自治体とも協議していく」とのこと。県内で同様の契約をし、同様の契約不履行・法令違反を被っている自治体が、本庄市など複数あるようです。今後のことは、市の入札指名委員会及び協議体の結論を待ちたいと思います。

しかし、私がこの報告の中で気になるのは、2の後段「幸手市としてはAGS株式会社から再委託の許諾済申請がなかったため、業務の再委託があるということを把握できていなかった」という件です。許諾申請がなかったから把握できない。契約条件の履行を発注者がチェック、確認できない。こんな契約って、アリですか?ここに問題はないのでしょうか。ここはポイントです。
また、管理監督の強化とは一体誰が何をどのように強化したのか。気になります。さらに受託者に情報管理の徹底と再発防止を求めていますが、今回の法令違反は先にものべましたが、法令の改正に許諾申請事務が追いついていなかったことに起因している。法律改正に後れを取らないというのは事業者の鉄則でしょうから、法規担当者の意識改革は必須でしょうが、今回のケースを発注者サイドからみれば、申請書さえ提出されていれば問題なかったという事案です。

しかし実は、ここにも大事なポイントあり。今回、この報告では発注者の責任には全く触れられていないし、反対に受託者に全責任があると言っているようにも感じますが、「許諾」というカードに権限を持つのは発注者です。申請が出された後、問われるのは再委託者、再々委託者の責任遂行の妥当性を見極める発注者の調査能力です。発注者の調査力が問われることに。そこをどう考えているのか。これも大きなポイントですね。

さて、今日の新聞朝刊でどのような扱いとなっているのか。新聞をとっておられる皆さまには私がお話ししたポイントも含め是非、ご確認をいただけたら。もう朝刊が届いている時間ですね。よろしくお願いいたします。

苦しい答弁

2018.12.02

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昨夜のタウンミーティングにて

昨夕、市の東側地区で区長さん主催のタウンミーティングがあると地元議員さんに連絡をもらい急遽傍聴してきました。

開始時間の6時前には地域の方が続々来場され、会場は超満員状態。椅子を足して対応されるほどでした。市長からの市政報告の後に、先に区長さんから市に出されていた質問や要望について回答や答弁があり、その後、会場との質疑応答が。設定された一時間では到底収まらないボリュームです。熱気溢れる議論のなかで複数の方が取り上げたのが「吉田幼稚園廃止問題」です。

6月議会に存続を求める請願が出て会派先進はその紹介議員を務めましたが、結果は賛成5、反対8で議会では請願は不採択となっています。その幼稚園廃止問題について若いママたちや地域の方の質問が相次ぎ、傍目に、市の苦しい答弁が続きました。まとめると、

Q.広報紙で廃園を知った。保護者に説明ないまま募集終了。どう考えているのか。
Q.こんなに素晴らしい幼稚園をなくして「子育て応援日本一」か。
Q.園児減、金がかかる。これだけで判断していいのか。誠に残念。
Q.吉田幼稚園廃止の問題ではなく、市としてどう幼稚園教育をして行くのかの問題では。
Q.議事録公開なし。資料等にいつでもアクセスできること基本では。などなど

執行部からは、
A.市長から教育委員会に存否を問い、教育委員会は教育審議会に諮問。方針を出してもらった。その答申を得て教育委員会で廃止の方向を市長に。市長は議会に諮り"ご議決いただいた"。再考はない。
A.これまでも協議され時期尚早とされていた。東地域は今後少子化に対応して統合を進めて行く。これからのこの地域全体のことを考えて進めていく。そう言った中で考えて行かなければ。
A.会議は傍聴可能だった。 などなど

未だ保護者に説明がないというのは驚きでした。そして、小学校の統合問題が唐突に市長の口から。これは今、コミュニティスクールの推進の中でどこかで協議されているのかどうかは分かりませんが、私的には寝耳に水状態の話しです。勿論、小規模校の課題解消として、統合問題は避けて通れないことですが、各学校のPTAや地域の若い親たちが十分納得出来るよう丁寧な協議を進めてほしいものです。
更に行政の決まり文句「議会にご議決いただいた」。確かにそうです。結果的に議会が最終結論を出すのですが、最後の責任は議会に転嫁されることを私たち議会人は自覚すべきですね。
そして、みんなが聞きたかった公教育として幼稚園教育をどう考えているかには答弁なく、どこに諮問したとか手続き論に終始。教育委員会の意志が全く見えない。また、再質問が出来ないルール(時間的制約)であったため、幼稚園の廃止問題と小規模校の統合という違う問題を錯綜したかのトンチンカンな答弁を再度質すこともできず、生煮え感は否めませんでした。閉会後に個別に質問を受けるとして閉会となりましたが、質問者が少なかったのか、住民が満足したのかあきらめたのか。市長は早々に会場を去りました。中に、3人のお子さんを連れて「吉田幼稚園に入れたい」と他県から移住してきたというママの発言もありましたが、廃園を本当に残念がっていました。

確かに、まちの運営は全ての人が満足とはいかない部分もありますが、初めから結論ありき、十分な説明を欠く、丁寧さを欠く手法で若い人に魅力あるまちとなれるのか。少なくとも、この問題では貴重な子育て世代を怒らせて。
更に、元教育関係者からも厳しいご意見があり、それを一刀両断、執行部が言い負かす場面も。元教育関係者と言えども、今は一般市民であり、解釈の違いがあったにせよ、公衆の面前で言い負かすなどは暴挙です。こんなにムキで短気な態度で大事な交渉ごとは大丈夫なのかとの懸念も感じてしまいます。若い職員には絶対真似て欲しくない態度でしたが、ご本人は気づいているのかなあ。

今回の市長による市政報告では来春、桜の時期に花火を打ち上げるという話しもありました。12月議会の補正予算にもその費用が計上されています。派手なことは何もかもシャットアウト、というのでも花火がいけないのでもありません。市民の生活に密着した問題では経費問題を取り上げ、駅前モニュメントにせよ、階段アートにせよ、式典にせよ、花火にせよ、一過性のまつりになけなしの予算を付ける。市政経営の問題としてこれで良いのか。そんな後味の残るタウンミーティングでした。会場の皆さんはいかがお感じになったでしょうか。

幸手の歴史や文化を学ぶ館がオープン

2018.10.23

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幸手郷土資料館 開設記念式典

 毎日バタバタ過ごし、やっと議会報告書の発送が完了。今日の新聞折り込みに先進のチラシが入っていましたが見つけていただけましたでしょうか。明日若しくは明後日には香日向地区以外のご支援者の皆さまには私の議会活動布告書が届くと思います。遅くなってしまいましたがご高読のほどお願いいたします。

 さて今日は、朝から幸手市の文化や歴史を保存・公開する拠点『幸手市郷土資料館』の開設記念式典でした。

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 少し雨のパラつくあいにくの天気となってしまいましたが、幸手市の教育・歴史・文化関係者が見守る中、まず、テープカットが。その後、建物の中に入って2階の講座室で記念式典があり、そのあと、担当職員の説明を受けながら1階の展示室を内覧し、隣りに隣接する民具資料室を見学しました。

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 幸手市では、歴史講座などを開講すると多くの市民の方が応募してくださるなど、今までも市の歴史や文化に市民の皆さまに関心を持っていただいてきましたが、今後も学習の機会を多く作って発信していきたいということです。

 この建物は香日向小学校に移転した看護学校の跡地・建物を利用しています。これまで郷土資料室は小学校や旧保健センターなどを転々としてきたので、やっと落ち着く場所ができてよかったのですが、ただ、ここは東公民館の隣ということで市街地から少し遠いのが玉にキズ。「自転車ではなかなか寄れないね」という参加者の声も聞こえてきますが、皆さまには機会があれば一度立ち寄ってみてください。

第5次総合振興計画(素案)

2018.10.10

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12日の意見提出日迫る

 先日、パブリック・コメントへのご意見提出を呼びかけました「第6次総合振興計画」(素案)の意見提出締切日が迫っております。私たち議員も意見書を提出できる機会が与えられており、ここ数日をかけて各担当課に聴取を実施しておりました。そんなことで、ブログの更新が滞っておりましたがご容赦を。

 そうこうしている中、ある市民の方から「総合振興計画に意見をと言っても、市民は案を見ることもない。まずは松田さんが問題点を示すべきだろう」とのご意見を戴きました。確かに、お忙しい市民の皆さまが何の説明もなく、自分で逐一内容を確認されて意見を述べられるというのは困難な作業であろうと私も思います。私もここ数日、”議員の特権”も含め、しつこく職員に聞きまくってなんとか理解できたという状況です。

 おっしゃるように、パブリック・コメントは行政の「市民参加」の手法として主流となっていますが、不完全な仕組みです。しかし、今、それに代わる仕組みはあるかというとないのも現実。市民の皆さまにはハードルの高い制度ではありますが、しかし、計画策定の最終段階として、是非、市民感覚、生活者の目で見て感じたことを伝えていただきたい。

 総合振興計画は市の最上位計画です。今後10年間の計画です。未来予測の難しい時代ですが、問題は少子高齢化や人口減少にかかる地域の諸課題のみならず、、国際化やAI技術の革新などに打ち勝つ将来像が示されているか。私もチェック機関の一員として、できる限り有効な意見が出せるよう頑張りたいと思っています。東京の時の流れ、地方の時の流れ、人々の暮らしや人情などそれぞれのまちにはそのまち特有のヒト・モノ・カネと”時”の流れがあります。それへの配慮無くして何も動かない。いろいろな細い糸をどう編みあげるか。まちづくりは一筋縄ではいきません。

 

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