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研修:地方議会の改革・活性化について
昨日は、元全国都道府県議会議長会議事調査部長であり、現全国都道府県議会議長会議会制度研究アドバイザーの野村稔氏を講師としてお招きして、幸手市議会の本年度研修会が開催されました。
講師は昭和34年に法政大学法学部法律学科を卒業後、昭和36年に全国都道府県議会議長会に入局され、平成12年にご退職されるまで地方議会一筋で来られた”地方自治の筋金入り”という方です。予定の時間を1時間近くオーバーし、地方自治のみならず、戦後の地方自治のあゆみ、中央政府や総務省などの組織内の様々な裏話など興味深いお話を聞かせていただきました。
特に、これまでの地方自治の現場で感じてこられたこととして、議員報酬については「地方も地方歳費とすべし」という持論が示されました。議員報酬や議員定数の削減が求められる昨今だが、「地方財政において、都道府県と市町村を合計した歳出総額のうち、議会費は職員の給与を合わせても0.4%と極めて小さい(平成22年度地方財政白書より)。議員定数を減らすことを行革の旗印にするのは間違いで、行政改革は99.6%を使用している執行機関の方で行わねば効果を上げることができない」と。
普通の研修会ではあまり聞けないお話しでした。報酬については、やはり若い人に魅力を感じてもらえる環境整備なくして政治に新しい息吹を吹き込むのは難しいのかもしれないことは私も感じるところです。
また、今回の研修は幸手市議会で今、検討中の「議会基本条例」の制定に示唆を戴くという目的もありましたが、講師からは「条例を作ってから改革は逆。改革をやってから基本条例を作るべし」と手厳しい指摘が。しかし、この条例を制定する過程において、少なくとも幸手市議会が改革されることは明らかです。今後はこの研修の効果を最大限発揮できるよう取り組んでいきますので、市民の皆さまには是非、お見守りいただけたらと存じます。いずれパブリック・コメントをいただく時期も来ると思いますのでその節はどしどしご意見をお寄せください。
そしてさて実は、今、幸手市議会は市民の方から出された「陳情書」の扱いについて波紋が起こっています。開会日当日に議場で読み上げるというこれまでのルールに、一部議員から「何から何まで読み上げていいのか」という趣旨の動議(問題提起)が出されたのです。
本格的な議論はこれからなので、動議を出した議員の真意もまだ定かではありませんが、議会基本条例を検討する中で生まれた活性化を望む1つの表れと考えれば意義深いことだと考えます。「陳情」を通して行われる市民の意思を、議場で読み上げる読み上げないという方法論ではなく、議会としてどう扱うのか。議会制民主主義の根幹に関わる問題としてしっかり考えていきたいと思います。
これからの時代「お上の言うとおり」という市民ではなく「私はこう思う」という主張を表現していくことが求められてくる時代です。そういう市民の意見や思いに議会や行政が適正・的確に対応していく。そしてまた、市民が自由に声を上げる…。このようなサイクルができることが今後の民主主義の在り方ではないかと考えます。
今回の「陳情」は従来通りのルールを適用し、開会初日に議場で読むことを議会運営委員会で決定しましたので、今回は議案説明の後、朗読がなされます。本議会は傍聴も可能です。また、インターネット中継でもご覧になれますので議会のようすをまずはご視聴ください。