記事一覧

異常事態発生 責任の所在はどこに

2015.09.20

アイコン

3常任委員会の審議終了、恥ずかしきかな、前代未聞の結末

 前のブログで文教厚生常任委員会の審議の様子を少しお伝えいたしましたが、先週で3常任委員会の審議が終了しました。その委員会審議において発生した極めて異例な事態について改めてお伝えしたいと思います。

 幸手市議会では、上程された議案は3つの常任委員会に分割付託され、各常任委員会で分割部分の審議を行います。審議の中で、予算の使われ方や執行の適正性などの疑義を質すのが委員会委員の役割であり、良ければ賛成、納得性に欠けば反対をする。ただそれだけです。ところが実は、今議会の委員会審議において、2つの委員会で不認定、否決という異例の事態が起きました。

 その実態とは。
 1つは建設経済常任委員会です。平成26年度一般会計決算が不認定となりました。特に問題となったのは公園管理事業です。市内91カ所の公園を一括して指定管理者に委託する事業ですが、年間約1億円もの税金を投入する事業でありながら市民からの苦情が絶えず、書類等の不備や一部事業の不履行などが散見され、市の監督責任が問われました。「管理が甘かった」「業者には是正勧告をする」との反省の弁あり。しかし、市民への不利益という不信は拭えず。不認定となったということです。

 もう1つは文教厚生常任委員会です。平成27年度補正予算が否決となりました。単年度主義が原則の自治体予算において、補助金の3年遡及(遡り)は一種”禁じ手”です。そんな要綱を”市長裁量”で秘密裡に定め、議会が問わなければ説明もしないという隠密ぶり。そんな予算執行が発覚したのです。担当課からは「説明不足であった」と詫びが入りましたが、議会に詫びれば済むものではなし。補助金の3年遡及は「異例」としながら「特別とは思わなかった」という説明もあまりに不自然です。
 議会で一番問題視されたのは、地方公共団体の予算の大原則である「単年度会計」を歪める要綱についてです。国や地方自治体は単年度で歳入歳出を完結させることが大前提とされていますから、補助金の3年遡及はいくら市の要綱で定めても、要綱の上位にある地方自治法施行令や市の補助金規則を逸脱するという不備を抱えているのです。よって、委員が予算を通すことはできないと判断しました。

 議会は「何でも反対」ではありません。正しいことや納得できるものは賛成しています。我々議員は皆さまの税金の使われ方をチェックするのが一番大切な仕事です。議会のチェックに耐え、健全な執行で予算を通すのは執行部の責任です。
 ただ、補正予算の否決は本来なら大問題です。実はこの議案を可決とする”ボール”は執行部の手中にありました。議会側では、”否決の重大さ”を鑑み、採決前に議長、文教厚生常任委員長に、執行部と採決に関わる問題点を協議するよう再三進言。しかし、仲介役の議長は「執行部は否決してもらっていいと言っている」と言い、また、常任委員長も「みなさんが反対なら仕方ない」と2人とも調整を放棄。
 執行部に予算を通す意思がなく、議長、委員長が執行部との調整を放棄した以上、議会は疑義ある議案は賛成しようはなし。そんなことで、決算の不認定、補正予算の否決というダブル異常事態となったわけです。厳密には、最終議決は議会最終日の本会議の採決で決まりますので、最終結論は持越しされた状態ということです。

 「補正予算が成立しないと10月1日からの予算執行ができないではないか。議会は何をやっているんだ」という方もおられるでしょう。しかし、先にも述べましたが、議会は「何でも反対」ではありません。市民の税金の使われ方をチェックするのが議会の仕事であり、おかしいものは「おかしい」と判断するし、チェックに耐え得た仕事には賛成するのです。そして、チェックに耐えうる仕事をするのは執行の責任ではないでしょうか。
 さて、この問題。責任の所在はどこにあると皆さまはお考えになるでしょうか。