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ビジョンなきオーバーラン

2018.09.22

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9月議会審議後の感想 綿密な計画を立てずに物事を進める体質&期限に対する認識の甘さ そして・・・ 

 9月議会の議案審議が昨日の建設経済常任委員会ですべて終了しました。昨日までの審議を通して、これまでモヤモヤと感じてきた幸手市の課題の輪郭がはっきり見えた議会であったというのが私の感想です。

 9月議会の審議を通してはっきりしたのは、幸手市の「綿密な計画を立てずに物事を進める体質」と「期限に対する認識の甘さ」です。

 例えば総務部門では、本来3か月で仕上げるべき事務にほぼ1年かかるという不手際がありました。「事務量が多かった」「規定に期限の定めはない」と逃げ?の答弁もありましたが、本来、綿密に事業スケジュールを組み、計画通りにいかなければ見直しをし、いかなる事情があっても期限通りに完了させるのがプロというもの。開き直りとも詭弁ともとれる発言自体、プロの仕事人としての認識の甘さを露呈するものでは。それが管理部門の仕事というのも残念の極み。

 さらに、建設経済部門で象徴的なのは古川橋架け替え工事です。古川橋は架け替えると橋げたが現橋に比べ1.5mも高くなり、取り付け道路の勾配を考えると周辺住宅への影響は絶大です。にもかかわらず、事業を始める際にそれを過小評価した結果、住民への生活機能補償(基本=宅地の嵩上げ)の交渉が遅れています。橋の供用をあと1年半後に控え、物件調査と補償費が補正予算に計上されていますが、これから交渉では遅すぎる。委員会でも指摘がなされました。
 それに対し、担当部長からは事業の手順に不手際があったとの”今さら”の陳謝あり。「住む」とは生活の基盤です。わが身を置き換えたらその丁寧さを欠く市の在り様の異例さが実感されます。市には是非事務執行の在り方を十分検証していただきたい。

 他にも、駅西口区画整理事業においては、前市政で区画整理事業の認可が下りた後、現市長となり、「駅舎優先」で駅舎・自由通路整備工事を進めてきた結果、下水道工事の進捗が区画整理に間に合わず、下水道整備地域にも関わらず、一部浄化槽を使用する地区が発生。今後、下水道整備が進めば一度築造した道路を再度掘削して管を埋めるという二重投資、無駄な作業と経費が生じることが想定されています。市民から選ばれた首長が公約を果たすのは当然ですが、しかし、無駄なくどう実現するかの手腕・手法は問われます。

 そして、厳しい財政状況の中、来春開催する橋上駅舎・自由通路開通式典に1300万円超の予算が。私も開通式自体は不要とは思いません。しかし、西口開設は幸手市の悲願であるとの力説の一方で、式典費用が当初予算ではなく、年度途中の9月議会補正予算で出るということ自体、計画性の無さをうかがわせるものと思わざるを得ない。さらに、庁内検討が進むほどに記念行事の構想も経費も膨らみ、階段アートやモニュメント設置まで加えると今回の補正額1300万円超という規模に。しかも本体の式典も大手イベント会社に外部委託、市民参加と言いながらオープンさを欠く検討が進められてきた。

 ある議員の調査では、さいたま市は岩槻駅の完成時、自由通路の開通式として約100万円で対応したということ。自治体が市民の税金をかけて行う行事は必要最小限。ある程度自制的に行われるのが当然。流石、さいたま市は心得ている。そう感じますがいかがでしょう。

 さて、今回の決算、補正予算は上記以外にも、小さな事務ミスなども含めさまざまなほころびが見え隠れ。その大元をたぐって行くと、そこには「ビジョンなきオーバーラン」とそのストッパー不在があるのではないかという推測に行きつきます。頑張っている職員には申し訳ないが、組織のどこかで”忖度”や”面従腹背”が跋扈して、結果として市の”組織風土”に問題がでている。

 いやなことばかり申し上げていますが、これは幸手市の現実の姿です。このようなことを”悪役”に徹してでもしっかりチェックすることこそ、私たち議会の役割と心得ます。

 最後に、私の一縷の望みは若い職員です。若い職員には「朱に交われば赤くなる」ではなく、「出藍の誉れ」と言われる職員として頑張ってほしい。

 いつも文句ばかり言ってるなあとお感じる方もあられると思いますが、私たち議会は、執行部が良い相撲を取る(仕事をする)ために、土俵の”荒れ”を清めるのも仕事の1つです。今、土俵の荒れが見過ごせない状況。そこに妥協は禁物です。そして今回、輪郭が明らかになった市の課題については、今後も清めるべき点を見定めていかねば。そんなことを感じた今議会でした。