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人口減少社会への対応、まず、基本認識の共有を
公益社団法人日本生産性本部・日本創成会(議事務局)での研修についてご報告します。
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訪問してまず驚いたのは、デスクに座っていた約20名のスタッフが全員立ち上がって「いらっしゃいませ」と爽やかご挨拶くださったこと。そして、事務局部長様、担当課長様にはたくさんの資料を用意していただき、本当に丁寧なご説明をいただきました。
いただいた資料&説明よりご報告いたします。
1.日本の総人口の推移と推計
明治維新/3330万人 第2次世界大戦終戦/7199万人
2008年(ピーク)/12808万人 2030年/11662万人
2050年/ 9708万人 2100年(中位推計)/4959万人
◎このまま推移すると、2100年には高齢化率は41.1%
2人で1人を支える?
2.人口減少は「3つの減少段階」を経て進む
老年人口(65歳以上)/生産・年少人口
第1段階(~2040年ごろ) 増加 減少
第2段階(~2060年ごろ) 維持・微減 減少
第3段階(2060年ごろ~) 減少 減少
◎超長期の将来推計では、2042年には老年人口(65歳以上)も減少
◎幸手市はすでに第2段階~第3段階に差し掛かっています
3.人口減少の要因
①20~39歳若年女性人口の減少
問題点:9割以上の子どもがこの層から生まれる。
第二次ベビーブーム世代がすでに40歳に達している
それ以下の世代の人数が急減。
◎出生数の改善が見込まれない。
②人口の社会移動
問題点:地方から大都市への若者の流出で、人口の再生産力の喪失
東京一極集中が止まらない
◎地方の消滅か
4.都道府県別合計特殊出生率
最高は沖縄県の1.94。最低は東京の1.13。埼玉県は1.33
◎幸手市は1.16で東京並み
5.東京への転入超過の実態
15-19歳(大学入学)、20-24歳(大卒後就職)の転入多し
6.都道府県別就業者数の変化(2005年から2010年)
産業計:東京の独り勝ち。わずかに沖縄県がプラス以外はマイナス
医療・介護分野:神奈川・埼玉・愛知・大阪・北海道・福岡・東京
など、全国的にプラス
◎地方の雇用の減少を食い止めているのは医療・介護分野
7.今後の都道府県別「消滅可能性都市」の比率
2010年から2040年にかけて、20~39歳女性が5割以上減の市町村
1位 秋田県 2位 青森県 3位 島根県 … 47位は愛知県
全国自治体の49.8%が消滅の危機。埼玉県は約33%。
◎幸手市は若年女性の減少率62.7%で、極めて消滅の危機といえます
8.政府の方針(骨太の方針)
日本の未来像に関わる制度・システムの改革
地域の活力を維持・東京への一極集中傾向に歯止めをかける
少子化と人口急減社会を克服するための総合的な政策の推進が必要
10.超長期の人口・高齢化比率推計
2035年に出生率2.1が実現すれば人口は1億人弱で安定
高齢化率も27%程度に抑えることができる。
♥いただいた資料を私なりに整理してみましたが、いかがでしょうか。今後、どのような政策を行うか。すでに自治体間競争が始まっているなかで、できるだけ早い対応が望まれます。
その費用の捻出には、これまでの自治体の各種政策・サービスの見直しは避けては通れません。幸手市はこれからどのような将来像に向かっていくのか。それをまず明らかにし、政策・サービスの集中と重点化を図ることは必須です。政策の執行は市長の専権です。市長の手腕が問われます。
しかし、その処方箋を描く前に、何より大切なのは現状把握です。
「根拠なき悲観論は益にはならない。国民が基本認識を共有し、適切な対応を打てれば、人口の重言を回避し、将来安定的な人口規模を得ることができる」というのが、人口減少問題検討分科会のリポートの大きな狙いです。
事務局部長様からは、まずは「老齢者マップ」の作成の薦めがありました。高齢者の居住場所がどこに分布し、どんな家族構成なのかを住民基本台帳からマップ化すること。「データとファクター」を把握して計画を立てることが何より大事だとの話しでした。当たり前の事かも知れませんが、幸手市の課題にフォーカスした政策展開にはピントの合ったデータを共有することから。
幸手市はまだ、部長級会議で現状把握が始まったばかり。2020年、2030年、2040年の将来予測の確実性を高め、以って、政策を展開する。9月議会では、幸手市がどのような現状分析に立脚して今後の政策を考えていくつもりなのかをしっかり確認しようと思っています。昨日の研修は今後の幸手市を考える有意義な機会となりました。