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さいたま市公文書偽造事件 そそのかし容疑で市職員逮捕
このところ、更新ができなくて申し訳ございませんでした。ずいぶん前の日付の新聞を今頃読んでいる状態です。10/5付け、埼玉新聞に気になるニュースがありましたので取り上げたいと思います。
「さいたま市公文書偽造事件」
2010年、さいたま市が発注した公園遊具の修繕工事で談合をそそのかし、実際には行われなかった工事について虚偽の完了報告書類を作成したとして、市職員(39)が官製談合防止法違反(入札妨害)と虚偽有印公文書作成・行使の疑いで逮捕されました。
逮捕容疑は10年3月中旬ごろ、公園管理事務所主任だった容疑者が、市内の造園業者を指定し、談合をそそのかし、997万5千円の随意契約を決定。同4月ごろ、業者による工事は実際には行われなかったにもかかわらず、工事完了の報告書類を作成した疑い。容疑者は施工業者を選定、決定する権限を持っていた。
談合が行われたのは老朽化した大型遊具の取り替え修繕工事。業者と結んだ契約では、1千万円近い規模の工事が年度末間近に手を付けられ、大型遊具の取り替え工事がわずか2週間程度で終わったことになっている。書類には工事終了後の写真は添付されていなかったという。
埼玉県警捜査2課は、08年度に行われたという大型遊具の工事についても同じ業者に対する談合、虚偽の公文書を作成した事実を確認している。
工事が架空だったことについて、さいたま市都市計画部長は「事実関係を確認できていない」と述べ、当時の工事完了確認がきわめてずさんだったことを認めた。容疑者は容疑を認めているという。
さいたま市議会は調査特別委員会(百条委)を設置。当時の所長らは業者との癒着・談合を否定する発言をしていた。
という事件です。
公園の大型遊具の取り替えというのは、どこのまちでも行っている当たり前の事業です。そこで起きた公文書偽造事件。そしてそれが発展しての官製談合事件。他にも余罪を疑ってしまう事件です。
この大型遊具は、工事が行われず、そのままの姿で今も使用されているということ。一目で分かる偽装工作に市はなぜ気付かなかったのか。
容疑者は「一人でやった」と供述しているようですが、容疑者が犯行に及んだ経緯には不可解な点が多いということ。業務の進行に当たり、市の管理体制に問題はなかったのか、調査は適正に行われたのか、あらためて市の責任が問われると、この記事は結んでいます。
この事件をこうして長々と引用したのは、私は2つの点でショッキングな事件だと思うからです。
その1つが、工事の実態がないことは市が適正な事後確認をしていればわかったはず。捜査関係者も「市が何で分からなかったのか分からない」というとおり、なぜ、このようなことが複数年許されたのかという点です。「公務員としてあってはならないこと」と市の行政管理監が謝罪していますが、「悪事が働きにくい」組織体制に問題があったのでは。
そして2つ目は、市議会が12年に設置した、地方自治法100条に基づく調査権を行使する調査特別委員会(百条委員会)で、当時の所長らは、業者との癒着や談合を否定するなどの証言をしていたということです。虚偽証言自体が空しいのですが、 更に空しいのは市議会の調査の限界を見たからです。遊具をみれば、工事をやったかやっていないかは一目瞭然。議員の調査では虚偽証言の根拠を覆す術はないということか。実に空しい結果です。
公共事業はすべて「契約」で成り立っています。契約の適正性が命。
今夏、香日向地区の樹木の消毒で住民の方から疑義が生じ、私が調査をさせていただきました。香日向の消毒の件は、いろいろ照合した結果、反対に、契約の内容(仕様書)に”記載されていないこと”を業者が複数年「サービス」で行っていたという妙な結果が判明。サービスで事業者が? この妙な結果に、仕様書の見直しを市に要望しました。
この時の決め手は写真でした。写真が残っていないというのは、最低限の証拠です。さいたま市同様、多くの事業をすべて市職員が自分の目で確認することは不可能かも知れません。が、しかし、チェック体制がしっかりと構築されていれば「不良の芽を摘む。起こさせない」環境づくりはできるはず。
♥組織とは、コンプライアンス(法令)順守やモラル(規律)が緩まないための網を張り続けることで適正さが保たれるものと私は確信していますし、悪かったことは悪びれず謝れる体質も大事です。市議会はチェック機関です。「性善説」だけではいかないイヤな役割も担わなければチェックはできません。
警察権と違い調査権では限界があることが判明しました。しかし、常日頃からの声掛けと、「見てますよ」というシグナルをしっかりと送ることで未然に防げることはあるはず。今回もこの事件について関係職員と語り合いました。私なりのやり方で少しでも風通しの良い幸手市に貢献していきたいと思います。