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3常任委員会合同視察で養父(やぶ)市へ
幸手市議会では、毎年、3つの常任委員会が合同での視察研修を実施しています。今年度は兵庫県養父市と明石市立図書館が視察先に決まりました。
養父市は国家戦略区の認定を受け、農地の売買や貸し借りの許可業務を農業委員会から市に移すなど、市長の強力なリーダーシップのもと、過疎地からの生き残りをかけて農業改革を推進しているまちです。建設経済常任委員会からの要望で行き先が決まりました。
かたや、明石市は図書館を指定管理精度を導入している市です。幸手市も来年から指定管理者に管理を委託することになっていることから、養父市に近い明石市が視察先と決まりました。
その養父市が今日の日経新聞に取り上げられていましたので、予習も予て取り上げてみたいと思います。記事によると、養父市は標高約700mの山間に130枚の棚田を持つまちですが、10年間で人口が1割減り、耕作放棄地は4年で2倍に増え、30年前に30人いた生産者も今は20人弱。雑草が伸び放題の耕作放棄地が目立つという過疎化を辿っていたまちです。
ところが、今年は戦略特区として「岩盤規制」を打ち砕いて始めた棚田オーナー制度が全体の3割近くに広がり、生産者のやる気が高まっているというのです。仕掛けたのは広瀬市長。民間建設会社から役所の臨時職員になり、上司から働き振りを認められて正職員になったという経歴の持ち主。その後、08年に市長に就任。「何年経っても投資対効果を見ない仕事の進め方になじめない」という民間感覚を原動力として改革を進めています。
その市長が2013年に招聘したのが三野副市長。ハウステンボスの再生の指揮を執るなど企業再生の専門家で、市長が「どうしても民間感覚を持った人が必要」と口説いたのだとか。そしてそこに意気投合したのが、改革派の生産者「農業法人 新鮮組」の岡本社長。特区の提案説明会で岡本社長から提案を申し入れたという。養父市では他にもオリックス、クボタ、ヤンマーなどの大企業も農業ビジネスを計画しているというのです。
なんだか役者がそろってますよ。羨ましいくらい。人が人を呼んでいますよね。しかし、役者がそろっただけでは人を動かすことはできません。反発をされながらも農地買収などの許可権限を、農業委員会から市へ移管。そして、農業振興という目的に向かって住民をまとめあげた市長の熱意と粘りが人を動かしているのです。
しかしです。特区認定で規制緩和を実現した養父市も問題はこれからだと記事は書いています。後継者が足りない。耕作放棄地が広がる。狭い農地が多く企業の参入は難しい…。日本の縮図ともいえる養父市の農業改革。米価の低迷、コメの消費量低下、TPP交渉やアジア戦略などが渦巻く農業は今や世界とも戦わなくてはならないのです。
ちなみに、幸手市では、私は圏央道産業団地の規模拡大や、幸手駅西口土地区画整理事業に住民の方のご理解を得て、県認可に導かれた(私が尊敬する)前町田市長の功績が養父市長とダブって感じてなりません。
財政難の中、駅東口ロータリーを整備し、日本保険医療大学を誘致し、東埼玉総合病院を誘致し、子ども医療費の対象者拡大も平成24年度からと考えておられたのです。その上に将来につながる大事業の認可を進めてこられた。権利を動かすというのは本当に大変なことだと思います。
話しが横に反れましたが、幸手市の農業も、まだ、数年は農耕者はおられるかも知れませんが、「農業」の将来を考えていかなければならないことは確かです。
しっかり視察してきたいと思っています。視察の結果はまたこのブログでご報告いたしますので、お楽しみに。