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指定管理者制度導入から8年 明石市立図書館 報告
行程が逆になって申し訳ございませんが、第1日目の視察の報告をいたします。午前11時前、新幹線新神戸駅に着き、「明石焼き」昼食をとった後、図書館に向かいました。
明石市は面積が49.25?。人口が約29万人。東西に15.6㎞、南北に9.4㎞、瀬戸内海に面して東西に細長いまちを形成しています。市街地は坂が多く、沿岸と中央を東西にJRと私鉄が走っています。鉄道駅が17駅もあるという地域性から人口集積の密度の濃さを感じます。市の東北部は神戸市に接し、市庁舎や図書館本館は市の北端に集積しています。
そのような明石市にあって、市立図書館の歴史とロケーションは。
歴史については、昭和22年、市役所(社会課)に市民文庫を設置。その後、公民館に市民文庫を移設し、移動図書館も発展的に運用。昭和49年に現在の県立明石公園内に兵庫県立図書館と同時に隣接して開館、平成11年には明石市西部図書館を開館するなど、利便性の向上が図られてきました。その後、平成15年に地方自治法の一部改正で「指定管理者制度」が行政改革の手法として注目されるようになり、平成18年に図書館に、更新期間を3年サイクルとする指定管理者制度を導入。今日に至っているということでした。明石市が図書館に指定管理者制度を導入した頃は、まだ調査対象も少なく、市の行政改革担当と、市民会館や図書館が協議し、フロントライナーの大阪府大東市などを参考に、募集要項や関係書類などを検討していったとのことでした。
また、ロケーションとしては、市民の憩いの場である県立明石公園という高台の広大な城址公園内に立地し、明石海峡大橋と淡路島が遠望できます。そして、周辺には天文科学館や歴史資料館などが点在。明石市は「東経135度の子午線のまち」としても有名ですよね。しかし、今後、市立図書館は明石駅東の再開発ビルに移設される予定となっているようです。
さて、指定管理者制度の導入状況ですが、直営時との比較では、
①人員配置 直営時はフルタイムばかりだったが、繁忙時などの短期配置が可能になった。⇒フルタイム率約38% 司書率86%
②開館時間 拡充
③開館日 拡充
④サービス 拡充⇒返却場所の拡大、HPに子どもページ設置、障がい者サービスや視聴覚サービスの拡充 など
⑤経費節減 指定管理導入前後で約14.5%=約4千万円の削減で推移している。平成25年度決算では2億3900万円。
という説明でした。
指定管理者制度導入というと、どうしても経費削減の効果が前面にでてしまいますが、サービスの維持・向上のために、明石市では所管課が行う評価(2~3ヶ月かけて)と合わせて、「外部評価員」による評価を受ける体制を整えています。構成委員は大学の専門の先生や市民代表など5名です。また、評価員の外部化とともに、「選定委員」も外部委員を採用していることは幸手市も見習うべきではと感じます。
最後の質疑応答で、私は「小・中学校の図書館とのかかわりについて」「図書館システムの入れ替えと指定管理者との関係について」「今後の課題への対処」などを質問。学校図書館との関係では、先生やボランティアが学校図書館をうまく運営できるサポートや図書の団体配送、リサイクル本の授受などで連携しているとのこと。また、図書館システムでは、ほとんどのシステムはハード・ソフトともに5年契約が基本。時代に合わせて更新をするのは市が担当。システムの更新時期に指定管理者となった事業者とともに更新作業を行っているということでした。
今後の課題への対処についてですが、今、明石市立図書館が抱える課題は、「指定管理者制度導入前の事情を知る職員が少なくなっている」ということでした。明石市では、図書館に指定管理者制度を導入後も市役所内に職員を配置し、指定管理者へのサポート体制を堅持していますが、専門職を配置する難しさに直面されているということなのでしょう。また、現在の館長が県立図書館の司書の経験者であり、職員とも「議論」ができる間柄という「財産」がいずれ近いうちに失わわれることへの危惧や不安もありそうに感じました。
新開発ビルへの移転が予定され、時代の流れの中で試行錯誤は続いているということですね。
幸手市でも、本来は「図書館サービス基本計画」や行財政改革との関係性をもっと精査していかなければならないのかもしれません。幸手市にも平成18年に策定された「指定管理者導入の指針」がありますが、行財政改革の考え方をもっと深めながら、議会での質疑に臨みたいと感じています。以上、合同視察の報告でした。長い報告をお読みいただいて有難うございました。