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民主主義の新しいあり方を考える
13日付け毎日新聞「今週の本棚」で紹介されている「来たるべき民主主義」國分浩一郎著(幻冬舎新書)に関する中島岳志氏の書評を読んでの感想です。
「私たちは民主主義の世の中に生きている。しかし、主権者として権利を行使するのは、概ね選挙に限定されている。投票が終ると、あとはお任せ。自分たちが選んだ議員が、どのような活動を行っているのか、ほとんど知らない。政策は、自分たちの手の届かないところで次々に決められていく。異論はあっても、声は届かない。私たちは主権者であるにも関わらず、政治に関わっている実感が持てない。民主主義でありながら、民主主義から疎外されている主権者とはいったい何者なのか」
このような問いかけから始まる書評は、東京都小平市に住む著者が地元で進む巨大道路建設の計画を知り、住民説明会に足を運んだ際の体験を取り上げ(この件は、以前新聞に大きく取り上げられ、私もブログで取り上げたことがありますのでご記憶のかたもあると思います)、曰く、「そこでは、住民が質問し行政が答えるが、回答に住民は納得しない。ところが、再質問は許されない。行政はただ自分たちの理屈を提示するだけ。これで住民への説明を既成事実化し、事業を進めていく…」。このようなやりとりにショックを受けたことを紹介しています。「行政が勝手に決めて、住民には説明するだけ。これが果たして民主主義なのか…」
この小平市の様子、「アレアレ? どこかで見たような…」とお感じになった方が多いのではないでしょうか。
そうです。幸手市においては、香日向小学校問題で同じこと、いや、それ以下のことが起こっています。なぜ、”以下”なのか。それは、住民説明会すら行われていないからです。
私は、今年3月に香日向小学校跡地の減額賃貸契約の可否と問う採決に「退席」しました。民主主義において、多数決に参加しないという行為は「覇権」であり、選択してはならないものとお考えの方もいらっしゃると思いますが、私はあのとき「行政や議員がこのような重大案件を、利害関係者の一方の住民意見が不明のまま決議していいのか」という戸惑いが湧き、「このまま、採決に参加してはいけない」と直感しました。
ただ、自分の未熟な点として反省していることは議員として「継続審議」を提案できなかったこと。提案をしても可決したかどうかは分かりませんが、提案すべきでした。本当に反省しています。
その後も、「住民への説明を」とずっと要望してきましたが、結局、先般の市長のタウンミーティングまで持ち越され、住民の大反発の末、改めて説明会が設定されることとなりました。このような声が住民から上がるのは必然の出来事です。私はタウンミーティングの前に職員に「必ず住民から説明会を求める声があがるだろう。開催の方向で調整して来るように」と伝えていました。このような事態を引き起こしたのは市の?市長の?住民不在の思考とともに、「政策遂行に対する管理力」が問われるものと私は思っています。
そして、少なくとも香日向小問題は、現市長の政策思考の回路では住民本位の民主主義は体現できないことを露呈したものであったと、この書評を読んで強く思いました。
では、今後の民主主義に必要なことは何か。いや、幸手市の自治に必要なことは何か。「身近な政治にコミットするには、住民の自立性を高め、新しい時代の自治のあり方を模索しなければならない」と著者は訴えています。
そこで私からの提案&お願いです。もう、縁故やネゴシエイトの時代は過ぎました。世の中の小さな変化が積み重なれば大きな変化につながります。その点から、今後、幸手市がいろいろな場面で市民に対して「公募委員」を呼びかけた際には、是非、応募してください。行政に意見を述べる=自治に参加する機会を是非大切にご活用ください。声をあげましょう。地方分権時代の住民自治にとって、主役である住民が声を上げることは小さな、しかし大きな変革の一歩となるものと確信しています。
香日向小問題では公募委員の選出についても課題を残していますが、しかし、まずは「応募」していただくことを最優先と考えて、課題を是正しながらよりよい制度となる様検討していきましょう。
この度の香日向小学校問題で「住民監査請求」が出たこと、タウンミーティングで「説明会開催要望」を実現させた住民パワーは、住民が幸手市政にコミットした貴重な行為であったと感じています。市長のいうような「住民監査請求がでたから住民説明会ができなかって」的弁明はまったくのNGですよね。
そして、私たち議会も反省しなければならないことがたくさんあると感じています。議員や政治は住民自治(本来、住民自治にはいいろいろな利害が交錯する)の調整機能としていかに有用な働きができるか、それこそが求められているのだと思います。住民利害の調整役こそ「政治」の役割です。
民主主義について長々書いてまいりましたが、幸手市の明るい未来のために、是非、いっしょに勉強していきましょう。ご関心のある方はご意見など是非、お聞かせください。
♥今後も皆さまが市政をご判断くださるに必要な情報等をお伝えするよう努める所存です。長々と、ちょっと熱がこもってしましましたね。ご容赦を…。