2017.03.19

議会最終日の採決で議員報酬改定 可決
17日の議会最終日の議案採決では、全ての議案が賛成全員、または賛成多数で可決されました。会派先進は2つの議案に反対。議員報酬と市長、副市長、教育長の給与を増額改定する議案です。議案採決では中村議員、大平議員が反対討論をし、木村議員、武藤議員が賛成討論をしました。
【採決結果】(敬称略)
議案第1号 幸手市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に
関する条例の一部を改正する条例
反対:大山 大平 中村 松田
賛成:小林(啓) 小河原 本田 宮杉 木村 小林(順) 藤沼
青木 武藤
議案第2号 幸手市市長等の給与等に関する条例の一部を改正する条例
反対:大平 中村 松田
賛成:大山 小林(啓) 小河原 本田 宮杉 木村 小林(順)
藤沼 青木 武藤
討論の中で、「『幸手市特別職報酬等審議会』の答申は重い」ことを賛成の根拠とする論もありました。しかし、市長が審議会に諮問したのは、19年間審議会が開かれていないことを監査委員に指摘されたのが発端ですが、平成29年度予算編成方針で、市が厳しい財政運営であることを自らが語っている市長がなぜ、このタイミングで審議会開催を判断したのか。さらに、財政の厳しさに拍車をかけているのが、市長公約の「駅舎整備事業費」であることを考えると、監査の指摘と言えども市長が、自らを含む特別職の報酬や給与まで増額改定が必要と判断したことに、議員はまずは焦点を当てるべきです。
また、このような議論では”議員多忙化論”が常套句的に語られるのですが、実は議員多忙化論とは議員の働き方の変化に対応する概念であり、社会情勢がどうであれ、全く働き方(例えば議会の開催日数など)に変化がないのに多忙化論を持ち出すのは筋が違うのです。幸手市議会の議員の働き方が従来と変わったかというと否、であります。
そもそも議員報酬は市民の付託に応える議員活動の対価であり生活給ではありません。過去には議員が勝手にお手盛り的に報酬を上げていた時代がありました。それを改善するために第3者的立場として市民を代表する報酬審議会の設置が国の指導で義務付けられ、市長諮問→審議会答申→改定議案上程→議決の”格好”が確立。今回もその体裁は整っていますが、あくまで議案を上程するか否かは市長の、最終的に議決するか否かは議会の判断であり、慎重な審議や深慮が必要なのです。
19年間諮問がされなかったことについてですが、過去の19年間には「第2の夕張」に転落するかという、市の財政状況等、歴代市長が勘案すべき幸手市の状況や事由があったなかで開きようもなかった。その経緯を知りながら19年間開かれていないことを指摘をした監査委員の真意、見識も私たちにはよく見えません(19年も開かれていないことに焦点はあてたが、その後は市長と審議会と議会の判断ということでしょうが)。
さらに、今般招集された審議会の会議録には、最終判断では「改定に賛成」という立場の委員も、「個人的には」との枕詞を付けて改正に否定的な認識を示されており、十分な合意形成ができているとは思えない。それを金科玉条のごとく「審議会の答申は重い」というのは議員として、多角的検討をないがしろにする論議です。
答申任せの時代は終わっています。だからこそ、幸手市議会基本条例では第17条2項に「報酬改定に当たっては様々な角度から調査、検討を行う」という条項を議会の総意として入れたのです。様々な角度からの検討や議論が尽くされたと思えない状況での報酬改定には賛成しえないというのが会派先進の立場です。
さて、議員は薄給か高給かという点についてはいかがでしょう。今回の改定では期末手当の支給月数も0.15月増に改定されます。それらを合計すると議員の平成29年度以降の年額報酬は
議長 7,114,620円 → 7,413,120円
副議長6,282,600円 → 6・555・120円
委員長6,010,920円 → 6,263,400円
議員 5,824,140円 → 6,057,480円
となります。この金額を高いと見るか安いとみるかは議論が分かれるかもしれません。だからこそ、様々な角度からの検討が必要なのですが、年間700万円~600万円の報酬は少なくとも生活ができないレベルではありません。他の自治体との対比ではなく、議員報酬は市民の皆さまからの付託に対する対価であり、幸手市民の税金から支払われていることを考え、幸手市民の合意・納得が得られるかどうかの議論が必要であったと感じています。
そして、議案第2号の市長、副市長、教育長給与改定も、類似団体との対比で高いか安いかが審議会の主な議論と見受けました。市長始め3人の特別職には任期満了ごとに退職金が支払われます。ちなみに、退職金は月額給与が基本であり、支給金に対して約600万円~500万円が退職手当負担金として市民の税金で賄われます。
ちなみに改定後の特別職給与と退職手当(試算)は以下の通りです。
給与(年額) 退職金(48か月)
市長 14,397,240円 57,588,960円
副市長 12,475,320円 49,901,280円
教育長 11,943,360円 47,773,440円
※ 退職金の額に誤りがありました。
訂正してお詫び申し上げます。(3/21)
正 市長 16,074,240円
副市長 8,357,832円
教育長 7,620,912円
加えて、もう1つ重要なことは、昨年12月議会で市議会議員や市長等の期末手当の支給月数が、増改定されたばかりだということです。年に2度も報酬が改定されるというのは通常の会社ではありえないのでは。
審議会答申を「隠れ蓑」的に議会での十分な議論もなく、さらに年に2度もの「お手盛り的」報酬改定が市民に理解されるか。皆さまにはまずは改定に賛成した理由をお身近な議員に問うてみてください。